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SAM(ソフトウェア資産管理)は本当にコストを削減してくれるのか?

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【第20回】 2014年3月17日
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 SAMのデータでソフトウェア資産関連のコストとリスクが可視化されれば、管理状況が改善され、想定外のコストの発生率を削減できるようになる。組織内でSAMのケイパビリティが成熟すれば、SAMのデータを予算管理や需要管理、無駄な購入を避けるシナリオモデリングに利用できる。しかし、そのためには時間と労力がかかるものだ。

 皆さんの中には、SAMは自分が抱える課題への答えだと気づいたばかりの人や、少なくともその答えを見つけるための第一歩だと初めて知った人もいるはずだ。SAMに接して間もない方々は、ぜひ落胆しないでいただきたい。なぜなら、適切な問いかけは、それ自体が答えになりえるからだ。SAMに取り組むために必要なこと、そしてそれがもたらす成果を現実的にとらえ、じっくり検討してほしい。

 とはいえ、ビジネス案件について、すぐに成果を上げざるを得ない場合もあるだろう。だからといって、失敗するように自らを導いてしまうことは避け、何かしらの実現可能な成果をあげられるようにすることが肝心だ。

 こうした状況をすでに切り抜けてきたという方は、SAMを始めたばかりの人にどのようなアドバイスを授けられるだろうか? 皆さんが、SAMに取り組み始めた際、SAMのデータや管理を改善することにより、コスト最適化や、コスト削減を目指し、まずどのような成果を上げようとするだろうか?

(翻訳:ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス)
原文:So can SAM really save me money? by Victoria Barber.

日本の読者向け解題

 ソフトウェア資産管理は、古くて新しい問題である。多くの企業では、ソフトウェアの台帳管理、契約情報の管理、それに基づく財務処理(要は原価償却)こそ行っているものの、適切にSAMを行っている企業は少ないのではないか。元来、SAMの必要性は、ソフトウェアの不正利用や、フリーソフト等の管理不足による情報漏えいなどのリスク対応が主であった。

 一方、システムや部門の縦割りにより、企業全体できちんと検証をしないで個別にライセンスを購入することにより重複購入しているケースも多い。ソフトウェアの集中購買による価格低下によるコスト削減に比べて、ソフトウェアの利用状況を定期的に見直し、ライセンス等の最適化を行うことによるコスト削減を行っている企業は少ないのではないか。

 また、ソフトウェアのライセンス契約の複雑化・多様化や、仮想化技術の普及により、ソフトウェアの適切な把握が難しくなっており、SAMツール(IT資産管理ツールや運用管理ツールの一部であったりもする)の導入は不可欠である。しかし、SAM導入/見直しのゴールがツールの導入にならないように、SAMの目的をきちんと設定し、その目的を実現するためのプロセスや組織、ツールをどのレベルでどのように整備していくかが肝要である。

 考えられる目的としては、この記事にあるように、予算管理や需要管理、シナリオモデリングなどのITコストの最適化という側面もあるし、技術標準に基づく標準化の推進や資産価値に基づく投資管理という側面や、不正なソフトウェア防止、影響範囲の的確な把握によるインシデント対応力の向上などのリスク軽減の側面もある。

(辻岡政人・ガートナー ジャパン コンサルティング部門 ディレクター)

 

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