世界危機後も経済の牽引役に!
成長市場の中国に群がる投資資金

 人口13億人の急成長市場・中国には、世界各国の企業の資金が、留まることなく流れ込んでいる。日本企業も例外ではない。大不況後の世界経済を牽引するであろう中国経済の底知れぬパワーには、誰もが一攫千金のビジネスチャンスを夢見て止まない。

 だが、実際に中国に進出した企業が、「厚い壁」に阻まれて立ち往生してしまうケースは少なくない。中国のビジネスと日本のビジネスとの間には、大きな「価値観のギャップ」が横たわっているからだ。

 現実に、中国ビジネスが持つ「シビアな顔」をイヤというほど見せつけられ、心をくじかれた経験を持つ企業関係者も、少なくないはずだ。

 本連載では、毎回中国ビジネスの現状を例に挙げ、すでに中国に進出している企業や、これから進出を考えている日本企業が、世界で最もシビアな市場で成功するための知識や心得を、様々な側面から提言していく。

 連載1回目は、日本企業が中国企業と協業する上で肝に銘じるべき「最も基本的な心得」を、専門家の意見を交えながらお伝えしよう。

 日本や欧米のような成熟市場と違い、成長市場で勝負をする中国企業にとっては、「スピード」がとても重要だ。マーケットの主導権を握るためには、競合以上のスピードで事業を拡大し続ける必要がある。

 そして、アクセルをベタ踏みして、自分たちの限界スピードで事業を拡大していくためには、必要な投資資金を利益の内部留保でコツコツ貯めるのではなく、外部から一気にドカンと調達する必要がある。

 日本以上に政府の規制が厳しく、金融機関からの融資が思うようにいかない中国企業の場合、成長のための資金調達は、国内外の競合企業や投資ファンドからの出資がメインとなるからだ。

 日本企業にとっても、このような状況はまさに「渡りに船」。右も左もわからない過当競争市場でコツコツとシェアを広げていくよりは、すでに国内で大きなシェアを持つ中国企業と資本・事業提携をしたほうが、よほど効率的だからだ。