小さな店舗の開業にタイの期待集中
記者会見にメディアと銀行関係者が詰めかける
東京から南南西に3750km、飛行時間は約6時間。
アセアン経済の中心地、タイ・バンコク。赤道に近い亜熱帯紀行で、春先でも外気温は摂氏30度を超え、湾岸に近いため湿度も高い。その市街中心部から東へ5km、スワンナプーム国際空港にも近い、シーナカリン通り。南北に走るこの通りの両側には、トヨタ、ホンダ、三菱、スズキ、GMなどの新車ディーラー、さらには「テント」と呼ばれるタイ独特の中古車業者の店舗が軒を連ねている。
そこに2014年3月17日、新たなお店がオープンした。
敷地面積517.7坪、ショールームの床面積62.6坪と、周囲の新車ディーラーと比較すると規模はけっして大きくない。そんな小さな店舗の開業を記念する記者会見には、総勢100名を超える招待客が集まり、ショールーム内はすし詰めの状態となった。地元メディアが50人強、残りの50人はタイ有数の銀行の頭取と副頭取たちだ。
記者会見の壇上には、背広姿の男性がふたり並んだ。
客席から見て左側に、V-ガリバー社のマネージングディレクター・野村勝志氏(33歳)。同右側に、同社ディレクターのPuttiphand Thamvichai氏(52歳)だ。野村氏は若きアントレプレナー(起業家)のように、自信に満ちた堂々とした表情で流暢な英語でこう説明した。
「ふたつのジャイアント企業がいま、ジョイントベンチャーを本格的に稼働させる。ひとつは、日本のNo1中古車事業者のガリバーインターナショナル、もう1社がタイの自動車関連コングロマリットのV(Viriyah/ビリヤー)グループだ。ガリバーがタイに進出する最大の理由は、市場の潜在能力にある。(JETRO・日本貿易振興機構2013年発表の2010年データによると)タイでは、総世帯のうち自動車の保有率は13.8%。対する日本では86.5%。そうしたなか、我々はこれまで日本で培ってきた中古車のユーザーからの買い取りや販売における最新サービスをタイで提供し、タイでの事業を成長させることが可能だと考える」
さらに同氏は約5分間、自身が若い頃に購入したクルマの思い出などの体験談を皮切りに「ガリバーがクルマ好きのタイの人たちにできること」を熱く語った。その言葉を来場者たちは真剣に聞いた。