マレーシアで日本車を買おうとしたら
イギリス人の同僚が経験した「悲劇」
イギリスから赴任してきた筆者の同僚が経験した話である。
マレーシア、特にクアラルンプール近郊は、アメリカに匹敵する車社会だ。公共交通機関が少ない、治安がよくない、国土が広い、という条件がある上に、産油国なのでガソリンが安いため、みな車を持つ。
彼も例外ではなく、こちらに来てから車を買おうとしていた。
車社会であるため、車の需要は常にある。アメリカもそうだが、そういう国では中古車が非常に高い。1500ccのカローラに相当する日本車が3年落ちで、150万以上するのだ。したがってマレーシアでは、車を買うことはかなり重要な意思決定となる。
ちなみにマレーシアには、「プロデュア」と「プロトン」という2つの自動車メーカーがある。プロデュアはダイハツと提携しており、ダイハツはトヨタ傘下なので、実質的にトヨタと提携、エンジンもトヨタ製を使っている。プロトンは、少し前まで三菱自動車と提携していた。
これらの車のエンジンは良いが、内装や強度、安全性については、日本車の方が圧倒的に優れているという意見が多い。事実、少し前までプロデュアの主力車「マイヴィ」にはエアバッグさえ装着されていなかった。したがって、マレーシア人でさえ、お金があれば日本車やドイツ車が欲しいと思っている。
しかし、これらの国産車の保護のため、マレーシア政府は外国車にはかなり高い税金をかけている。このため日本車は、日本で買うよりもずっと高い。ホンダのシビックを新車で買うと、最低でも300万円以上する。そのため、日本で買った車を個人輸入する人も多いと聞く。もちろん、ドイツ車なども同様に高い。
イギリスから赴任した私の友人は、マレーシア人の友人に保証人になってもらい、長年のローンを組んで新車を買うことにした。当初はホンダの「シビック」を考えていたが、マレーシアではホンダは日本車の中でも最も人気が高く、最も価格も高いブランドだったので、色々と見て回った末に他の日系自動車メーカーの車にした。