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「世界のコンピュータは5台に集約」が実現!?
過熱する世界のクラウド競争

 

林 雅之 [国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)]
【第40回】 2014年4月4日
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応戦するIBM、マイクロソフト、
グーグルの海外勢

 AWSが市場をリードする中、IBM、マイクロソフト、グーグル、NTTコミュニケーションズなど、クラウドサービスを展開する事業者各社は、AWSへの対抗軸を鮮明にし、事業の強化を図っている。

SoftLayerを中核に
オープンクラウドを推進するIBM

 米IBMは、2013年に米中央情報局(CIA)やアメリカ国家安全保障局(NSA)のクラウド案件の応札でAWSとの競合のすえ失注をするなど、AWSとの競合では苦戦を強いられており、クラウドビジネスの強化に向けた事業展開を急いでいる。

 また同社は、低価格のx86サーバー事業を中国レノボ・グループに23億ドルで売却の発表をする一方、クラウド事業へは積極的な投資を行っている。2013年には、大手パブリッククラウドサービス事業者SoftLayer Technologies(以下、SoftLayer)を20億ドルで買収、2014年1月には12億ドルを投じ、年内に日本をはじめ世界15ヵ所にデータセンターを新規開設すると発表。2014年2月には、クラウドサービスの開発者向けの機能拡充に向けて、2015年までに10億ドルを追加投資することを発表している。

 日本IBMは2014年2月7日、国内におけるクラウド事業の戦略の発表において、国内で徹底的にオープンクラウドを推進していくことを明らかにし、SoftLayerを中核にクラウドビジネスへのシフトを鮮明にしている。SoftLayerは、仮想サーバーのほか、物理サーバーを選択でき、エンタープライズでも対応できる高いパフォーマンスが強みとなっている。

 米HostCabi.netが2013年10月25日に公表した調査では、世界のアクセス数上位のウェブサイトで最も多くホスティングしている事業者として、AWSを抑えSoftLayerが1位にランクされている。SoftLayerの顧客は、フォーチュン500社のトップ25社中24社を占めており、顧客数は世界で約2万1000社を超えているという。

 日本国内では、SoftLayerの販売のためのマーケティング体制を強化し、メディアやイベントなどへの露出を積極的に行うとともに、IBMの営業チャネルの強みを生かした営業体制の強化を図っており、今後、国内市場でも台風の目となるだろう。

「Microsoft Azure」への名称変更と
日本データセンターを展開するマイクロソフト

 米マイクロソフトは2014年3月26日、公式ブログでパブリッククラウドサービス「Windows Azure」を、4月3日以降の「Microsoft Azure」への名称変更を発表した。さらに、3月31日には大幅な値下げを発表し、5月1日よりコンピューティングは27~35%、ストレージは44~65%を値下げし、公式ブログにはAWSとの比較表を公開するなど、AWSの4月1日からの値下げに対抗している。

 米マイクロソフトが「Microsoft Azure」に名称を変更した背景には、Windows ServerなどのWindowsプラットフォームに限らず、さまざまなOSや開発言語、サービスセットに対応した企業ユーザーのニーズにも応えるクラウドサービスであることを強調する狙いがあり、「Microsoft Azure」を同社のクラウドサービスの中核に位置付けている。

 日本マイクロソフトは2014年2月25日、26日より「Microsoft Azure」の日本データセンターの開設を発表し、東日本と西日本の2拠点に「リージョン」を設置することで高い可用性を実現し、企業ユーザー向けの利用拡大も図っている。

 2月25日の記者会見によると、「Microsoft Azure」の顧客数は全世界で20万社を超え、日本では1万社を超える顧客が利用しているという。日本データセンターによる「Microsoft Azure」の提供により、企業の基幹システムの基盤での利用など、さらに顧客数を伸ばしていくだろう。

AWSに対抗、業界を主導し料金体系の
簡素化を打ち出すグーグル

 米グーグルは2014年3月25日、「Google Cloud Platform Live」のイベントにて、仮想サーバーを提供する「Google Compute Engine」やビッグデータ分析エンジン「Google BigQuery」などのクラウドサービスの利用料金の30~85%の大幅値下げと、料金体系の簡略化の方針を示した。

 今回のサービス料金の値下げだけでなく、AWSに対抗する新サービスの提供も発表しており、AWS対抗を鮮明している。

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林 雅之
[国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)]

政府の情報通信政策やクラウド案件などの担当を経て、2011年6月からクラウドサービスのマーケティングを担当。 一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) 総合アドバイザー。著書『オープンクラウド入門』『オープンデータ超入門』(以上、インプレスR&D)、『クラウド・ビジネス入門』(創元社)等。

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