58万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者佐々木圭一氏と、発売5ヵ月で35万部を突破した『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の著者坪田信貴さんとの対談・第2回。今回のテーマは「褒め方」と「伝え方」。褒め方の技術についてお話しいただきました。
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(構成・森 綾 撮影・小原孝博)

責任を負えることを言葉にしている

佐々木 坪田さんの本は、最初に白紙のページが出てきますよね。僕は、これに心を掴まれました。本の表紙も、本の主人公その人ではないんですよね。

佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師 上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。アジア初、6ヵ国歌姫プロジェクト(アジエンス)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計3つ獲得、AdFestでゴールド賞2つ獲得、など国内外51のアワードを獲得。郷ひろみ・Chemistryの作詞家としてアルバム・オリコン1位を2度獲得。

坪田 違います。モデルさんですね。

佐々木 「このギャルが坪田さんなのか」と思った人もいたかもしれないな。

坪田 そう思う方もいらっしゃったみたいです(笑)。

佐々木 本の構成上、成功体験が続くと思いきや「あれ、想像していた内容と全然違うぞ」と初っぱなから楽しいんですよね。たとえば“Japan”の訳を「ジャパーン」と生徒さんは訳す。日本じゃなくてジャパーン。「なぜ伸ばした、君は郷ひろみか!」とか、こういうところはもう、めちゃめちゃ笑えますよね。僕は今41歳ですけど、坪田さんの授業を聞いてみたいなって、すごく思いました。

坪田 僕のほうが聞きたいです。上智大学の佐々木先生の授業を。

佐々木 あとすごく共感したのは、31ページに書かれている「でもね、何より『絶対無理』って言われたことを成し遂げるのが自信になるんだ。それが大人になってからも大事だ」ってところです。これはなかなか言えない。責任を自分が背負うっていうことを、あえて言葉にしたんですね。

坪田『伝え方が9割』は、読み方によっては、「とりあえず、その技術を実践すればいいんだ」と思う人がいるかもしれないけど、実はそうじゃない。「中身がいいことが前提だし、ダイヤの原石は磨かなければ輝かない」ということを示唆されている。多分、僕と同じことを伝えてらっしゃるのかなと。

佐々木 表紙だけ見た方が、「口先だけで相手を騙して自分だけ得するみたいな本」と勘違いされることもあるのですが。読者からの感想で嬉しかったのは、「相手のことを想像して伝えるから、相手もハッピーな気持ちになって「イエス」って言えるし、自分もハッピーになれるってすごい、今っぽいし新しいと思います」という感想でした。

坪田 そこは意図されてたわけじゃないんですか。

佐々木 意識して書いたわけではないんですが、ベースはあったかもしれません。『伝え方が9割』の裏タイトルは、「相手の想像の仕方」。相手のことをどう考えるかということで、このタイトルにしたんです。