社会的価値を「増幅する」
パートナーが求められる

EGGエネルギー社のように、投資される側が社会的企業である場合、金銭的な収益の拡大が必ずしも第一目的ではない。質の良い教育や電力供給サービスの提供など、新興国・途上国の低所得層が抱える課題の解決が彼らの目的だ。だから、インパクト・インベストメントを通じてその企業が提供する、お金以外の価値を見極めている。ヤン氏は自分たちの成長ステージに合わせて、必要なパートナーを戦略的に選んでいくと言う。

ヤン 資金面でのパートナー以外に2種類のパートナーが必要だと考えています。一つは技術面でのパートナー。EGGエネルギー社はこれからマイクログリッド(地域限定の小規模なエネルギー供給ネットワーク)事業に出ていくかもしれない。その時に必要な技術やノウハウを提供してくれるパートナーが必要です。今はGDFスエズ社がそのパートナーになるんじゃないかと思っています。もう一つは販売・マーケティング面でのパートナーです。これは他のマイクロファイナンス機関なども考えられるでしょう。

これだけ読むと、他の多くのベンチャー企業が求めるパートナー像とそれほど変わりはない。しかしEGGエネルギー社はいわゆるBOPベンチャーであり、ヤン氏が求めているのは、EGGエネルギー社が提供する「社会的な価値をより向上させ、増幅する」パートナーだ。

 これまで取り上げた、ベネッセ・ホールディングス、ピアソン社、そしてGDFスエズ社ともBOPベンチャーの「社会的な価値を向上させ、増幅する」ことに関わることこそが、新興国・途上国市場を理解し、自社のグローバル展開に繋がる大事な「種」になると捉えている。この想いの一致がインパクト・インベストメントの「肝」だと言えよう。今回取り上げたインパクト・インベストメントの事例は、その真価が現れるのはこれからだ。投資を受けたBOPベンチャーはもとより、投資した企業側に現れる変化にぜひ注目されたい。