4月23日、オバマ米大統領が国賓として訪日した。

 今回の首脳会談では「日米同盟関係の強化」が改めて確認され、それを明記した共同文書が発表される。

 もちろん、通り一遍の「日米同盟の強化」を謳っても格別の意味はない。だから、内容的にかなり踏み込んだものになることは間違いない。

 果たして、安倍晋三首相が目指す「集団的自衛権の行使」がどのような表現で共同文書に盛り込まれるのか。そこに関心が集中している。

 集団的自衛権という言葉が使われるかどうか。使われるとしたら、それは安倍首相の努力についての報告にとどまるか。それとも年末の新ガイドラインに向けての首相の決意や約束の表明となるのか。そこが重大な問題である。

 おそらく、首相と外務省は、できれば「政府による集団的自衛権行使のための憲法解釈の変更」を“国際公約”とすることを狙っているだろう。とにかく、「集団的自衛権」という言葉を既成事実化することが外務省の至上課題だ。

 もし会談でのその約束が首相によって反故にされることになったら、首相退陣が避けられないだろう。それほど強い拘束力のある約束である。首相はともかく、外務省はこの千載一遇のチャンス(?)を逃すまいと必死になっている。政権がどうなろうが二の次である。

集団的自衛権は官僚によって
“国際公約化”されてしまうのか

 今現在、日米間の重要課題は、この集団的自衛権問題とTPP合意。2つとも大事だが、オバマ大統領はTPP、安倍首相は集団的自衛権と、両者にとっては2つの案件の優先順位がかなり異なる印象を受ける。安倍首相は、TPPが米大統領を失望させるものなら、安全保障面、特に集団的自衛権問題で、大統領に大きなおみやげを渡すつもりだろうか。しかし、ひょっとするとそれは大統領にとってありがた迷惑にもなりかねない。

 外務省の操る“国際公約”は要注意。外務省だけでなく、官僚は官意を実現するために最強の手段として国際公約を多用する。消費税増税のときは、財務省は国際公約を先行させ、TPP参加でも国際公約が国内世論を押し切った。

 首脳会談などで、国際公約とみなされる発言を首相に強いるには、徹底的に首相を取り込んで説得、時には脅すように発言を迫る。それが日本の官僚の手法である。