また、各社経営陣ともに人口減少に対しての危機感は強く、業界全般に不動産事業に経営資源を投入する傾向が強い。JR東日本は長期的に品川の車両基地を活用した不動産・リテール事業の拡大を目指すだろう(推定の開発可能面積は15万平方メートル)。2027年には中央新幹線(リニア新幹線)が品川~名古屋で開業予定となっており、新たな街としての品川エリアの再開発が注目される。

 弊社の鉄道業界での注目企業は中央新幹線のオペレーターでもあるJR東海だ。JR東海の15年3月期の営業利益は減価償却費や新幹線の大規模修繕費などがかさむため、一時的な利益成長の鈍化が見込まれる(弊社の営業利益予想は前期比横ばいの4633億円)。

 しかし、16年3月期以降は新幹線の持続的な需要増により、年率6%の利益成長を予想する。長期的には中央新幹線に関わる減価償却費の増加により、中央新幹線開業の約5年前(2023~2027年)程度からの営業利益は大きく落ち込むが、営業キャッシュフローは安定的に推移すると予想している。中央新幹線開業後は名古屋と東京の経済的な繋がりがより密接になり、東海道新幹線開業時(1964年開業)のように、ビジネスや観光のあり方を変えるだろう。

出所:会社、BofAメリルリンチ・グローバルリサーチ

高付加価値戦略に舵を切り始めたエアライン業界:
注目企業はJAL

 エアラインは2012年後半からの円安(燃料費の増加要因)、LCC(ローコストキャリア)の台頭、羽田空港の国際線枠の増加など事業環境の変化が著しい。過去、JAL(日本航空)とANA(全日本空輸)が二分していた国内線市場には、スカイマークやスターフライヤー、Peach(ANAの持分法適用会社)など相対的に安価な価格帯を提供するエアラインが台頭してきた。今後もエアアジアなど外資系エアラインの日本市場への参画などが想定されるだろう。

 価格競争の激化リスクがある中、ANAやJALといったFSC(フルサービスキャリア)はLCCとは一線を画した高付加価値戦略に重点を置いている。国内線市場での両社の市場シェアは80%以上あり、特に利便性の高い羽田空港での市場シェアが高いと言える。両社は景気回復を背景に、高付加価値シートの提供やマイレージ戦略などにより、国内線運賃の値上げに舵を切り始めた。