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「デジタルな日常」を生きる

ウェアラブルデバイス「JINS MEME」の
かけ心地のよさに未来を見る

松村太郎 [ジャーナリスト・著者]
【第18回】 2014年6月5日
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 JINSブランドは、日本のものづくりに敬意を表しながら、メガネをかける人に対してイノベーションを起こしてきた。まずは価格破壊から始まり、かけていることを忘れるような軽い「Air Frame」は大ヒット商品になった。筆者も愛用している「JINS PC」は、液晶画面などのブルーライトをカットし、疲れ目を防止する新しい機能性メガネで、筆者のようにメガネを普段使っていない人々にも、メガネを手にとってもらうことに成功している。

 JINSとして第4のイノベーションとして用意されたのがJINS MEMEだ。

眼電位を検出する
センサーを内蔵

 このメガネは、こめかみと鼻の左右の側面の3点にセンサーを入れ、眼電位を取ることができるようにした。この3点は、つまり普通のメガネをかけるとフレームが顔の表面に当たる部分。今までの技術では4点必要だったが、技術開発で普通のメガネのデザインをそのままに、センサーを入れることに成功している。

 この眼電位を取ると、瞬きや視線移動といったデータを取得することができるようになる。加えて、JINS MEMEには加速度センサーも内蔵されており、目の動きと姿勢のデータをリアルタイムかつ詳細に蓄積できる。活動状況についてはリストバンド型よりもよいデータが取れ、また既存のメガネと変わらないデザインによって、より自然に装着できる。

 視力矯正のためにかけるメガネをJINS MEMEで作ることはもちろんだが、前述の通り、視力矯正以外の機能性メガネを既にJINSは作り出しており、JINS MEMEをかける動機が全ての人に存在している状況を準備してきたことになる。

自分のことを見るメガネ

「JINS MEME」。額、鼻の両サイドに当たる部分にセンサーが入っており、両目の動きをセンシングすることができる

 JINS MEMEについての紹介で、印象的だったのが、「(JINS MEMEは)自分のことを見るメガネ」という田中氏の言葉だった。メガネはこれまで、自分の周り世界を見るための道具だったが、もちろんその機能は叶えつつ、自分のことをよりよく知ることができるという「逆のモード」を持つプロダクトだという。

 詳細に記録された目の動きと加速度センサーの情報は、手元のスマートフォンで見ることができる。デモでは、リアルタイムに取得する視線データを活用して、視線でスマートフォンのメニューを操作しており、どんな精度で目の動きを取得できているのかわかりやすかった。

 用意されたプロトタイプのアプリでは、3つの利用シーンを想定していた。

 1つ目はオフィス。仕事中に感じる疲れや眠気などを、目の動きから拾う指数に換算し、「me(Mental Energy)」という指数で表してくれる仕組みだ。疲れが増えていくだけでなく、リラックスするとmeの値は回復もあるようだ。オフィスワーカーが、自分で適切にマネジメントできるようにすることで、精神疾患を防いだり、経済損失を軽減する効果があると説明する。

 2つ目はドライブだ。現在カリフォルニア州でも、Google Glassはスマートフォンと同じく、運転中に操作してはいけないデバイスになっている。しかしJINS MEMEはディスプレイを持たないため、装着しても運転になんら支障はない。ドライブの際も、眼電位から眠気を検出するアルゴリズムを用いて、居眠り運転を防止するアラームをスマートフォンから出すことができる。

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松村太郎
[ジャーナリスト・著者]

まつむら・たろう/1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「スマートフォン新時代」「ソーシャルラーニング入門」など。

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スマホ、SNSなど、毎日の暮らしに欠かすことのできなくなったネット環境とデジタルツール。その一方で、セキュリティやプライバシーの問題、ツールへの依存、ネットコミュニティとの関わり方など、日々新たな問題が現れ、状況は変化している。私たちは「デジタルな日常」をどう生きていけばいいのか、米国シリコンバレー在住の記者が、生活者の目線で解説する。

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