そんな中で、大型4製品の1つ、アクトスに異常事態が発生した。発がんリスクがあることを隠していたとして、米連邦地裁が4月に武田に60億ドルの賠償を命じる陪審評決を出したのだ。武田の成長を支えてきた製品が一転、大きなリスク材料に転じた。評決は判決ではなく、賠償が決まったわけではない。長谷川社長は「あらゆる法的手段をもって争う」としている。

 負のスパイラルにはまる中で長谷川社長が下す経営判断は、外から見て過激だったり、異様なものに映った。批判を浴びる「孤独な社長」の脇を固める主要幹部は外国人や外資系出身者たち。グローバルの市場と経営を知る彼らは、理解者でいてくれた。

 5月中旬、兵庫の地に長谷川社長とウェバー氏の姿があった。武田の創業家の本家筋を訪ね、13年度の業績を報告してウェバー氏を紹介するためだ。

 お家騒動にしたくない本家は表だって現体制を批判せず、静観してきた。訪ねてきた長谷川社長に対して、言葉を選びながらやんわりと経営への注意を促した。

 もっとも、創業家一族で唯一、経営上層部に残っている武田直久常勤監査役は、長谷川社長の持ち込む案件に何度も反対し、ナイコメッド買収にも猛反対していた。

 そしてついに、OBと一部の創業家一族から反乱の狼煙が上がった。27日の株主総会は大荒れが予想される。


創業家・OBの反乱から
国内リストラの全貌まで
武田薬品の内実に迫る!

 『週刊ダイヤモンド』6月28日号の巻頭特集は「病める製薬 王者タケダの暗雲」。国内製薬最大手である武田薬品工業の内実に迫りました。

 武田が6月27日に開催する定時株主総会に向け、OBや創業家一族112人が連名で事前質問状を提出しました。その内容は海外企業のM&A、外国人幹部の登用で急速なグローバル化を推し進める現経営を糾弾するもの。外国人社長の就任にも反対しています。