つまり、こういうことです。今回話題になっている制度はつまり、「労働時間ではなく、成果で評価しますよ」ということです。これはマルクスが指摘した「出来高制賃金」に通じます。
この制度では、労働者は、与えられた業務が終わるまで仕事をしなければいけません。つまり、仕事が終わらなければ給料を支払わなくていいということになり得ます。そのため、労働者に長時間労働を強いる制度と批判されているのでしょう。
しかし、さらに怖いことがあります。それは、成果が上がったかどうかは企業が恣意的に決めることができる、という点です。
マルクスは、その点を指摘していました。単に「残業代を払わなくてよくなったから、たくさん働かせちゃえ」では終わらず、労働者が生産した成果物も「質が悪い。基準未達。これでは50%の仕事をしたにすぎない。だから給料も50%しか払えない」などといって、給料自体を下げることができてしまうのです。
また、ノルマの基準を上げることで、「規定の成果の30%しかあげられなかったから、給料も30%になります。よろしいですよね」となり得てしまうのです。