一家は生活困窮していたため、Bさんの介護料金がまだ数ヵ月分、未納になっていた。

 いつでも請求に行けるとはいえ、併せて、どのタイミングで、どう家族にアプローチしてあげるのがいいのか、Bさは悩んでいた。

 祖母の収入が亡くなったいま、不動産を売却すれば、生活費を調達することができる。

 しかし、残された6人で分け合った場合、いくら手元に残って、どのくらいで貯金が底をついてしまうのか。6人は今後、どこに住めばいいのか。

 その後、家族がどのようになったのか、わからない。

 近所付き合いがまったくない中で、地域の民生委員でさえ、こうして埋もれてSOSを発信できない当事者を把握するのは難しい。

 それどころか、当事者や家族は、地域の名士が多い民生委員に、自分たちの存在が知られるのを恐れる。だから、ますます目線を気にして、地域に埋もれていってしまうのだ。

 介護という現場から、たまたま見えた断片的な情報とはいえ、福祉の領域を1つの拠点にして、第3者が相談にのってサポートしていく必要のある深刻な事例であることには間違いない。

 Bさんのような介護サービス従事者が、こうした困窮家族を見つけたとき、どこに相談するのがいいのか。そうした情報の整理も必要だろう。

 そして何よりも、利用者が「助けて」の声を上げやすいよう、公的な機関が相談窓口を拡充、啓蒙したうえで、教育、福祉、精神保健といった行政の部署が連携してチームをつくり、当事者たちのペースで一緒に将来を考えていける丁寧なシステムを、各地域に構築していく取り組みが重要だ。

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