一方、国債消化原資となっている個人金融資産にも、限界がある。わが国の経常収支は何とか黒字を維持しているものの、黒字幅は急速に縮小している。経常収支の黒字幅が縮小することは、国内の資産蓄積のペースが鈍るということだ。

 足もとの経常収支のペースを考えると、今後金融資産の大幅な積み上げは期待できないだろう。そうなると、これから国債消化の原資にも限界が見えてくる。ある試算によると、あと10年以内に国債消化のための個人金融資産の原資が枯渇する可能性があるという。それが現実のものになると、国債市場が不安定化することになるだろう。

 その意味では、財政再建はわが国にとって避けて通れない重要問題なのである。具体的に財政再建を実行するためには、税収を増やして歳入の増加を図るか、社会保障費などを見直して歳出を減らすか、あるいはその両方を実行することが必要になる。

個人金融資産の限界とあるべき対応
フィスカルドラッグの中での危機回避策

 いずれの施策を選択したとしても、景気にはマイナスの効果を与えることになる。それは、一般的にフィスカルドラッグ(財政の景気抑制効果)と呼ばれる。今回の消費税率引き上げに関しては、わが国経済は何とかクリアできそうだが、それだけで打ち止めというわけではない。これからも消費税率引き上げに加えて、外形標準課税など税収基盤の拡充を図ることが必要になるはずだ。

 また、社会保障制度の見直しも避けられない。もともと政府は社会保障と税の一体改革を謳ってきた。これから歳出削減のため、国民に痛みが及ぶ社会保障制度の改革はどうしても必要だろう

 そしてもう1つは、わが国企業の競争力強化を図ることだ。最近、わが国産業の競争力は低下傾向が顕著になっていると言われている。それは貿易収支が大幅な赤字に陥っていることからも明らかだ。企業が海外のライバルと競争するためには、企業自身が積極的に新技術や新製品の開発に取り組むことが必須だ。

 それがないと、わが国の経済の実力を高めることはできない。経済の実力が高まらないと、フィスカルドラッグの中でしっかりと財政再建を進めることは一段と困難になる。