トヨタが今現在、OAAに加入しない理由

「T-Connect」の記者発表の質疑応答で、筆者はプレゼンターの友山常務役員にこう聞いた。

「アップルCarPlay、そしてグーグルのOAA。こうしたスマートフォン先導型のテレマティクスサービスと今後、どのように併存していくのか?」

「アップル(CarPlay)については加盟している。OAAについては、北米のトヨタIT開発センターが、かなり細かな情報交換をしている。(そうした議論では)車両の走行安全性、及び情報セキュリティが重要。不用意に車載システムにアクセスされない、外部からプログラムを改ざんされる等の不正アクセス、不正に車両のデータを抜かれない等の観点で、慎重に検証しながら(OAAの)採用を検討していきたい。これは日本も含めてグローバルな対応を考えている」(友山氏)

 スマートフォンの世界市場において、グーグルのアンドロイド端末、及びアップルのiPhoneが二大勢力である現状を鑑みれば、スマートフォンと車載器の連携の議論では当然、自動車メーカーはグーグルとアップルが提供するプラットフォームに融合しなければならない。こうした声は、筆者が世界各国の自動車メーカー関係者とテレマティクスについて議論している際、必ず出てくる話題だ。

 よって、トヨタも近いうち、OAAへの参画を発表することは間違いない。

 だが、トヨタにとって課題となるのが、車載OS(オペレーティングシステム)についてだ。トヨタはインテル等と協力し、テレマティクス関連のコンソーシアムとして「AGL(Automotive Grade Linux)」を立ち上げ、車載向けOSの「Tizen(タイゼン)IVI」を開発している。「T-Connect」については「IBMと協力し、OSはLinuxを使用している」(友山氏)と語っている。

 OAAは、スマートフォンと車載器との連携にとどまらず、車載OSにアンドロイドを利用することを目指すことを明らかにしており、Tizen IVIとは競合する立場になる。

 ただし今回、OAAに米ハーマンが入っており、彼らが推奨(一時は子会社化していた)する車載OSの大手、カナダのQNXとアンドロイドとの棲み分けが行われそうな機運もある。その前振りとして、ハーマンは今年3月のスイス・ジュネーブショーで、QNX、AGL、アンドロイド等への「全方位対応」を強調。1台のクルマで、2つの車載器OSを採用して、2つのHMIをそれぞれ別のOSに対応させるデモンストレーションを行っている。

 同社関係者は「今後、CarPlayやOAAへの対応を考えると、こうした多画面化の可能性がある。高級車ではすでに、HMIが2つある場合があり、採用の可能性が高い」という。同社はメルセデスやBMW等にHMIを含めたQNXのトータルシステムを提供している。