消費増税前の駆け込み需要に沸いた宅配便業界で需要が一服する中、3位の日本郵便が快進撃を続けている。宅配便の取り扱い実績では、業界トップのヤマト運輸は、4月が前年同月比0.6%減、5月が同1.6%減となった一方、日本郵便は4月が13.3%増、5月も13.3%増と2カ月連続の2桁増となった。
一昨年、佐川急便が低価格競争から脱却。今年はヤマトが“運賃の適正化”として値上げに動いたため、利用者が流れ込んだとみられている。
日本郵便は、ここぞとばかりに積極策を打っている。長年、凍結していた投資を再開し、1600億円を投じて全国約80カ所にある大型物流拠点のうち20カ所を建て替える。鉄道貨物が発祥で、ターミナル駅前に物流拠点を構えていたが、現在はトラック輸送が主流になっており、高速道路のインターチェンジ付近に移転させる。
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新しい物流施設には、倉庫スペースを設ける。通販業者などの商品在庫を預かり、受注管理、梱包、配送を一手に引き受ける「フルフィルメント事業」に進出するためだ。すでに試験的に富山県や大阪府で事業を始めている。
釣り具のインターネット販売のエスアールジータカミヤ(大阪府)は、3月に日本郵便と新たに契約を結んだ。
以前借りていた倉庫では、商品入荷時に、検品と登録をしてくれないのが悩みだった。
ネット通販の世界では、新商品をいかに早くウェブサイトに掲載できるかが売れ行きを左右する。商品を別の場所で検品してから倉庫に移していたため、新商品発売からサイト掲載まで5日ほどかかり、販売機会のロスとなっていた。