最終的に「できた」と
思えるかどうか

 間違ったポジティブシンキングでがんばるAさんは「確率は0%じゃない。必死でがんばればきっと勝てる」と考えます。「勝てるわけないよ」という感情を切り離し、「きっと勝てる」「何がなんでも逆転だ」という思考で、感情を無理やり抑え込んでいます。

 しかし、感情と思考を一致させるBさんは、違います。

 「勝てるわけない」という感情に逆らわず、「勝つのは無理だろう」と思考を一致させて、勝てない状況の中で「できること」を探そうとするのです。このケースならば「勝つのは無理だろうなあ。でも1点なら取れるかも。負けても1点取れたらOK」と考えます。これが試合におけるOKラインの設定。

 試合結果は30対3で、完膚なきまでの完敗でした。するとどうなるか。

 Aさんには「完敗した」という事実が結果として残ります。そして「がんばったけれど勝てなかった」→「やっぱりダメだ。自分には才能がない」となって自己否定感ばかりが強まる可能性が高い。
一方のBさん、試合には負けたけれど、当初の1点取るというOKラインはクリアできました。クリアするどころか3点も取れたからハナマルです。
「次は3点以上を目指そう」と、OKラインを越えたことで、次へのチャレンジ精神も生まれました。

 勝てるはずがないというネガティブの感情を受け入れて行動し、そこで小さいながらも「できた」という成功体験を得ることで自己肯定感が生まれている。ここがポイントです。

 最終的に自己否定感が残ったか、自己肯定感が生まれたか。この差は自分に自信を持つという意味で、天と地ほどの違いがあります。