W杯での活躍度はロドリゲスに劣るし、おまけに問題行動を起こしたにもかかわらず移籍金がこれを上まわる選手もいる。ウルグアイのFWルイス・スアレスだ。スアレスといえばグループDのイタリア戦で相手DFに噛みつき、一躍悪名をとどろかせたが、イングランドのリバプールからスペインのバルセロナへ移籍金8100万ユーロ(約112億円)で移籍が決定したのだ。昨季はプレミアリーグ33試合に出場し31ゴールで得点王、MVPをダブル受賞。W杯でもイングランド戦で2ゴールを決めてグループリーグ突破に貢献した。これだけの実力を示せば素行に問題があっても不問になるようだ。

 W杯での活躍で文字通り平凡な存在から一気に価値を上げた選手もいる。メキシコのGKギジェルモ・オチョアだ。オチョアはグループリーグのブラジル戦で神がかり的なセーブを連発し、スコアレスドローに持ち込む原動力になった。また、決勝トーナメント1回戦のオランダ戦でも敗れはしたものの好セーブを見せて一躍注目の的になった。29歳のオチョアはフランス1部リーグ(リーグ・アン)で下位に低迷するアジャクシオ所属(来季は2部に降格)。しかも今夏で契約が切れるため移籍金が発生しない。お買い得の選手なのだ。W杯の活躍に加え、そうした状況も追い風になってスペインのバルセロナ、アトレチコ・マドリード、イングランドのアーセナルなど欧州の20以上のクラブからオファーが殺到しているという。昨季までの年俸は5000万円を超える程度だったようだが、移籍市場では何倍もの提示がされるだろう。W杯の頑張りでまさに人生の成功をつかんだのがオチョアなのだ。

 この他にもW杯の活躍で株を上げ、高待遇での移籍が実現しそうな選手は少なくないが、残念ながら日本代表ではそうした存在はいないようだ。4年前の南アW杯ではベスト16に進出し、本田圭佑、長友佑都らの価値が上がった。多くの日本選手が欧州のクラブに入ったのもベスト16効果である。だが、1勝もできずに敗退する状況では価値は上がらない。香川真司などはむしろ評価を下げてしまったといえるだろう。ただ、トップレベルの日本選手が欧州でも十分通用するのは証明済み。柿谷曜一郎がスイス1部の名門バーゼルに移籍金220万ユーロ(約3億円)、年俸110万ユーロ(約1億5000万円・いずれも推定)の高待遇で入団するのも日本選手の実力が認められているからだろう。スアレスやロドリゲスには遠く及ばないが、日本選手の価値が高まっていることは確かだ。