修羅場を切り抜けるために必要なことは?

 はじめまして。『プロフェッショナル・ファシリテーター』の翻訳のお手伝いをいたしました(株)クオリア代表取締役 荒金雅子です。ダイバシーシティ・コンサルタントとして活動しています。

 ファシリテーターとして長年、さまざまな会議や話し合い、ワークショップに関わってきましたが、いつも悩んでいたことがありました。それは……

「修羅場と化した話し合いをうまく切り抜けるにはどうすればいいのか」……ということです。

 ダイバーシティ(多様性)を取り扱うがゆえに、常に多様な意見による対立や衝突、反発、あきらめを伴う話し合いに遭遇します。そこでうまく役割を果たせず、徒労感や無力感を感じることも多く、いつももっといいスキルや手法、やり方はないかと悩む日々でした。

 そんな私が、『プロフェッショナル・ファシリテーター』の原著Standing in the Fireに出合ったのは2012年、中国のシンセンで行なわれたIAF(国際ファシリテーターズ協会)の大会でのこと。著者のラリー・ドレスラー氏から直接ワークショップを受け、本書の神髄に触れ、衝撃を受けました。修羅場を切り抜けるために、本当に必要なことは……

スキルではなく、ファシリテーター自身のマインドだというのです。

 まさに、目から鱗!でした。スキルや手法を学ぶために多くの時間とお金をつぎ込んだのに、最も重要なのは「やり方」ではなく、私自身の「あり方」だったとは!

会議を成功させる3つの要素

 ファシリテーターは、会議や話し合いの成功を2つの側面で捉えています。
ひとつは、目的やアジェンダ、問いの立て方といった「内容」。内容を熟知していないと目指すゴールに到達することはできません。もうひとつは、ツール・手法・テクニックといった「方法」です。