アドラー研究者・岸見一郎の心理分析

岸見一郎(きしみ・いちろう) 哲学者。1956年京都生まれ。専門の哲学と並行してアドラー心理学を研究。古賀史健氏との共著『嫌われる勇気』では原案を担当。

他人を好きだから自分も好きになる
前回の品川さんと同じで、井上さんも非常に健康的だという印象を受けました。どちらかというと、品川さんが積極的な感じの健康さだとしたら、井上さんはもっと穏やかな感じの健康さをお持ちです。井上さんはご自分のことが好きだとおっしゃっていますね。じつは、自分を好きな人はカウンセリングに来られないんですよ。ひょっとしたら井上さん自身も気づいていないかもしれませんが、彼がなぜ自分のことを好きかというと、彼がほかの人のことを好きだからなんですね。自分のことを好きだと思ってくれる人がいる、ということを常に感じている。他者への絶大なる信頼があって、その人たちに貢献できていると感じているからこそ、自分を好きになれるんです。

(編集&文・ラリー遠田 文・落合由希 写真・石井 健、木村哲夫)

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【編集部からのお知らせ】

大好評!40万部突破!!
岸見一郎/古賀史健著
嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

【内容紹介】

岸見一郎/古賀史健 著、定価(本体1500円+税)、46判並製、296ページ、ISBN:978-4-478-02581-9

 世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー。

「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学は、現代の日本にこそ必要な思想だと思われます。

 本書では平易かつドラマチックにアドラーの教えを伝えるため、哲学者と青年の対話篇形式によってその思想を解き明かしていきます。

【本書の主な目次】
第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 すべての悩みは対人関係
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 世界の中心はどこにあるか

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