自分のアイデンティティを知らなければ
海外で戦えない

海外で成功したければ“下ネタ”を覚えなさい <br />日本人を捨てず現地に溶け込む秘訣松嶋「『自分たちはこうだ』と理解することでグローバルになっていくものです」
柳川「自分も含め、日本人は意外と日本のことを知らないですよね」

松嶋 やはり相手のアイデンティティを知ることがグローバルのなかで一番大事です。そして、自分たちのアイデンティティをも理解することが、グローバルになるということだと思います。日本人は外ばかりを見て、外の情報を知ることだけがグローバルだと思っているけど、まずは「自分たちはこうだ」と理解することでグローバルになっていくと思います。

柳川 これは反省でもありますが、自分は意外と日本のことを知らないと思います。外国人の先生が来日して一緒に食事をしながら「これはなんだ?」と聞かれても、とくに和食の場合はうまく説明できない。これではいけないなと思います。

松嶋 僕も同じような経験があります。シーズンオフになると、サッカー選手の友人が日本に来るんですよね。たとえば彼らをお寺に案内するとき、ある程度はフランス語で説明できますけど、「あれ、こんなことに疑問を持ったことないよ」という質問をされることもある。そのときは、僕はまだ日本をわかってない、自分のアイデンティティをもっと勉強しないといけないなと思います。だからこそ、フランス人をアテンドするのは僕にとってすごく大事な時間なんです。そこからいろいろなものを見ていくことができますし、他人の目を通して自分をよく知ることができる。

柳川 おかしな聞き方かもしれませんが、日本を理解することが、フランス料理をつくっている松嶋さんにとっても大事なんですか?

松嶋 大事ですね。

柳川 それは具体的にどういう意味ですか?

松嶋 もし、日本だけにお店を持っていたらそんなことは考えなかったでしょう。僕はどちらかというと、ベースをフランスに置いて、本格的なフランス料理を出したいと思っています。でもお客さんは、日本人がつくるフランス料理はどんなものだ、そのなかに日本らしさはあるのか、に興味があって足を運んでくださるんですよね。だからこそ、フランス人から見た日本を知らないことには、うまく料理をつくれません。そこを追究していきたいという想いがあるので、自分のアイデンティティをもっとよく理解する必要があると思います。

柳川 今の話はとてもおもしろいですね。海外に進出する企業は、日本企業として売っていくのか、それとも、どこの国の会社かわからないように現地化して、現地企業と思われるようになったほうがいいのか。これはいろいろな経営者が悩んでいて、私も相談も受けることがあります。日本食を出すわけではないですが、自分のアイデンティティを理解することで、それがフランスで売るにしろ、タイで売るにしろ、アイデンティティを理解していることがにじみでてくる、根っこのようなものが大事だということですね。