■質問3
バブルからいろんな出来事が起こってきた。
芸能リポーターから見て、世の中が一番変わったなと思うのは?

 まずプライバシーのことですね。取材する側の、基本的人権に対する意識が明らかに変わりました。

 僕らが若い頃は深夜に有名人の自宅に行き、インターホンを鳴らすなんて日常茶飯事でしたし、オートロックのマンションに宅配業者と一緒に入るなんて当たり前のことでした。

 そして、事件の被害者家族、加害者家族に取材をするときに、以前はあった“インタビューがとれてなんぼ”みたいな考え方がなくなりました。

 当時の僕らは正義を伝えていると勝手に思っていたんですが、相手がたとえ加害者であったとしても、その奥さんやお子さんの人権を踏みにじるような行為はできない、やっちゃいけないという意識が強くなりました。これはやっぱり、個人情報保護法ができたことが大きかったです。

 今って、何か事件が起きて、その映像がニュースで流れるとき、家や車のナンバーに、必ずモザイクがかかってますよね。昔はその家をヘリで上空から撮影して、普通に放送していたんです。そういう意識は以前と今とでかなり変わったと思います。

質問4
「二度と来るな」と門前払いにあったことは?

 セールスマンの方もきっと同じことがありますよね。僕も何度もありましたが、そこは手法を変えて出直すようにしていました。

 たとえが正しいかどうかはわかりませんが、夫婦ゲンカをして相手が興奮状態にあるときに、どれだけ正論を吐いても多分聞く耳をもってはくれません。

 ただ、日が変われば相手の気持ちが変わっている可能性もあるので、二度目に行ったときは、どうしてあなたに取材をしたいのかというこちらの意図を手紙に書いて郵便受けに入れておいたり。そこで次回訪問したときに会ってくれた人もいますし、会ってくれない人もいました。

 それを何度か繰り返してもダメなものはダメ。縁がないと思うしかありませんが、この人は熱心だ、一生懸命だという印象を残せたのであれば、こちらがやったことは決して損ではなかったのではないでしょうか。