ニューヨークで活躍する日本人弁護士は、世界の敏腕弁護士とどう渡り合っているのか?ニューヨーク州弁護士の大橋氏が自ら実践している「交渉の絶対セオリー」を紹介する。この最終回は、交渉や商談のクロージングで役立つ「質問の仕方」について伝授しよう。
相手から前向きな答えを引き出す質問
「もしも、○○だとしたら」
あなたが何を提案しても「できない」「いらない」「受け入れられない」という否定的な答えしか返ってこないとき、どうすれば状況を変えられるだろうか。
相手から前向きな答えを引き出す「魔法の質問」がある。
それが「イフ~(もしも、○○だとしたら)」だ。
「旅行なんて考えられない」と言っている人でも、「もしも1週間休みがあったら、どこへ行きますか?」と聞けば、「1週間なら、豪華列車で九州各地をめぐりたいな」「スペインへ行ってサッカーが見たいな」と具体的な希望を話してくれるかもしれない。そこから、相手の考えや趣味・嗜好が見えてくる。
「海外にも行ってみたいけど、うちの子どもは飛行機が苦手だからな」など、相手が抱えている別の事情を聞ける場合もある。
「もしも、○○だとしたら」「仮に、○○だったとしたら」と質問すると、「仮定の話だから」と相手の警戒心も弱まり、思わず本音をのぞかせてしまうことが少なくないのだ。