株価はこれからどう動くか。投資主体別の動きをここで整理してみよう。まずは、一時よりも減ったとはいえ、売買高の半分強を占める外国人投資家だ。
特集中で詳しく解説したとおり、外国人の投売りは底を打った。ただし、日本株を積極的に評価しているわけではない。
2005年の郵政選挙後に、改革期待の外国人マネーがどっと流入したが、その再来を期待するのは無理がある。「消極的な買い」に留まるだろう。
日経平均が底入れした3月まで買いに回っていた企業年金については、その後の株価上昇局面で、リバランス売りが目立つ。企業年金は「大勢としては、リスク資産への投資を上積みするような余裕は全くない」(ヘッジファンド幹部)とあって、株価を押し上げるような存在にはならない。
投信は、これまでさっぱりだった国内株関連の設定がぼちぼち出始めている。株価上昇は新規設定を後押しし、資金流入は増えていくものと考えられる。ただし、投信人気の主力はなんといっても「海外モノ」で、そう大きな資金流入は期待できない。
個人投資家は、信用売買のほうはトレンドフォローの順バリ傾向だが、現金売買については逆張りの投資スタンスがはっきりしている。また、秋口以降増えると目される公募株、新規公開株に資金を吸い取られ易い。
いずれにせよ、株価水準を押し上げていくような存在ではない。明らかに買いが期待できるのは、企業の自社株買いくらいだ。
全体として、積極的に買う主体も、積極的に売りをかける主体もなく、どんどん上値を追うような力強さはない。
特集のPart1「リスクマネーの最新動向」、Part2「個人投資家の今」で見たとおり、相場のセンチメントは目まぐるしく変わり、上下にぶれる展開となりそうだ。
株価上昇も株価下落も短期間で息切れしそうである。マクロ経済的にも「悪い金利上昇」など、波乱材料には事欠かない。
一般の個人投資家が、相場の方向性に乗ろうとするのは火傷のもとだ。割安銘柄をきちんと見極め、中長期のリターンを見込んで投資することである。
報告義務などに手間を取られることなく、バイ&ホールドできるという点で、個人投資家はプロの投資家よりも優位に立つ。Part3「7つのランキングで株価判定」、Part4「一部・二部市場の株価診断」、Part5「新興市場の株価診断」などを、投資判断の一助としていただきたい。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 小栗正嗣)