地域金融機関が生き残る道とは

 とはいえ、地域金融機関の預貸率(預金に対する貸出金の割合)は低下の一途を辿っており、利鞘(ざや)も縮小し続けている。預金の主な運用先であった国債も低金利が定着してしまった。しかも、中小企業金融円滑化法と、その実質的な延長措置によって現在は不良債権に分類されていないが、本来であれば貸倒引当金を大幅に積み増す必要がある取引先も多いと思われる。金融庁が言う「5~10年後」を見据えるまでもなく、既に目の前に難題が突きつけられているのだ。

 では、こうした山積する課題に対し、地域金融機関はどう対応すべきなのだろうか。筆者は、地域金融機関経営の専門家ではないので、大それたことは言えないが、最近の静岡銀行と京都信用金庫の取り組みにヒントの一端があるような気がしている。

 静岡銀行の中西勝則頭取は、「目指すは世界一の地域金融機関」と題して、今年度からの意欲的な中期経営計画を自らの言葉で説明している(「金融財政事情」2014年7月28日号)。特徴的なのは、既に強靭な経営体質を生かして、極力自前で顧客ニーズに応えて行くという姿勢だ。

 中計のポイントとしては、3年で総額1000億円に及ぶ戦略的投資を行なうことで、その内訳はシステム関連投資で300億円、店舗と新本部棟の建設で250億円、新事業への出資等で450億円とされている。システムは、他の地銀が共同化を進める動きを加速している中、独自のオープン系業務システムを採用し、コスト削減と機動的な経営を可能にするという。

 また、戦略的投資の一環として、マネックスグループとの資本・業務提携を行なっている。同グループの持つ機能や商品開発力を取り込む狙いだ。さらに、地域から東京や海外に取引先が流出している現状に対し、首都圏拠点の機能を拡充し、海外拠点の整備や外銀との提携にも積極的に打って出ている。ただ、いずれも地域金融機関として静岡の取引先を主なターゲットとした地道な取り組みで、無理がない。

 一方、京都信用金庫は、創業支援融資を積極化しており、同信金のHPには、「創業相談ホットライン」がある。増田寿幸理事長によると、その根底にある思想は、「人口や企業数が減る時期に会社を興す人、事業を始める人は地域の宝だ」(京都新聞「この人に聞く」2013年3月19日)というもので、最近伺った話でも、ここにきて急速に当該分野で融資残高を増やしているという。信金がベンチャー事業に融資をするというのはリスクが高いと感じる方もおられようが、プライベートエクイティファンドを運営する筆者の感覚から言うと、しっかりしたビジョンと自らのリスクテーク意欲がある起業家向けの投融資は、漫然と赤字を垂れ流す経営者向けより遥かに安全だ。