その後、2002年の日韓ワールドカップの共催やこれをきっかけとする羽田・金浦シャトル便の導入、観光客の日韓双方での大幅な増加、さらには日本における韓流ブームと韓国における日本ポップス・漫画ブームなど、草の根的に日韓関係の大幅改善が図られた。

草の根交流も政治関係の悪化を阻止できず
合理的な「大人の二国間関係」をつくるには

 一時的な政治関係の摩擦があっても、そのような草の根の関係の強さが日韓関係の決定的悪化を食い止めるのではないかとすら思われた。ところが、李明博大統領の竹島訪問、慰安婦問題を巡る対決といった政治的関係の悪化を経て、朴槿恵大統領・安倍首相就任以降、日韓間では1回も首脳会談すら行われない状況が続いているのである。

 2ヵ月ほど前に行われた日韓双方の有識者の会合で、私は「韓国には日本はあまりに無神経ではないか、という思いがあると思うが、日本には韓国の甘えはもう沢山だ、という意識がある」と率直に述べた。これは外務省で長い間日本と韓国との関係を担当し、退官後も賢人会議や色々な会合で韓国の人たちと付き合ってきた者としての本音であった。

 私は、1987年秋に朝鮮半島担当の課長に就任したとき、心に決めたことがあった。それは、次のようなものである。

「日韓は遠くて近い国と言われるとおり、地理的にも文化的にも近い関係にあるが、いったん事が起これば日韓併合といった歴史的経緯もあり、心理的に極めて冷めた関係になってしまう。良きにつけ悪しきにつけ、日韓双方が感情面に依存するのは良くない。もっと合理的な大人の関係をつくろう」