世界最大の食品メーカーであるネスレの日本法人、ネスレ日本。営業利益率は20%超えを実現している。高い収益性を支えるプレミアム戦略について聞いた。

 ――今、食品メーカー各社はさまざまな「プレミアム商品」を展開していますが、高岡社長が考えるプレミアム商品とは、どんな商品ですか。

ネスレ日本社長兼CEO 高岡浩三 <br />プレミアム戦略に不可欠な商品の「精神的な価値」Photo by Kazutoshi Sumitomo

 私は、商品の価値には二つあると考えています。一つは、「物質的な価値」。食品では単純に、おいしいということですね。しかし、味のような物質的価値は、すぐにライバル企業にまねされてしまいます。

 もう一つは、「精神的な価値」です。私が考えるプレミアム商品とは、この精神的な価値を消費者に与えられる商品です。

例えば、お土産用の地域限定「キットカット」。ご当地に行かないと買えない〝希少性〟が消費者に精神的な価値を与えていて、実はネスレ日本が販売するキットカットの中で最も営業利益率が高い商品になっています。

――今年、1本315円のキットカットを販売する、専門店「キットカットショコラトリー」を2店オープンしました。どのような狙いがありますか。

 ショコラトリーは、私の10年来の夢で、ようやく実現できました。オープン以来、今でも毎日40分待ちの状態が続いています。

 来年は、6〜7店舗に拡大し、その後は全国にインターネットで販売する予定です。ここで重要なのは、まず店舗をオープンして、「毎日、行列ができている」というニュースをつくることです。

「40分待たないと買えない」ものが、インターネットで買えることに消費者は精神的な価値を感じる。これもプレミアム戦略です。