低迷する世界経済の頼みの綱として期待されている米国景気をめぐって、にわかに先行き不透明感が浮上している。その余波は大きく、ニューヨークダウは10月上旬から続落しており、日欧の株価も下落。足元では世界同時株安の様相だ。さらにその激震は、消費税の引き上げという日本の最重要政策にも影響する可能性が出てきた。
16日朝、携帯電話の速報メールに目を落とした財務省幹部は頭を抱えた。そのメールは、ニューヨークダウの5日続落を受けた日経平均株価の急落を伝えていた。
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「このままでは安倍首相が最悪の決断を下すかもしれない」
財務省の宿願といえた消費増税が、世界を覆う同時株安の激流にのまれようとしていた。
この日の日経平均株価は、心理的な節目とされる1万5000円を割り込んで始まり、終値は前日比335円安の1万4738円となった。一時は1万4600円台後半と5カ月ぶりの安値を付けた。
背景にあるのは、顕在化した世界景気の先行き不透明感だ。
欧州ではデフレ懸念が高まり、欧州景気のけん引役であるドイツも市場予想を下回る経済指標が相次いでいる。中国経済の減速など新興国もさえない状況にあり、ニューヨークダウは10月9日から下落していた。
そんなジリ貧にあってさらに、世界経済の頼みの綱だった米国の景気への信頼までもが、にわかに揺らぎ始めた。