前述の国民会議の報告書と同様に、「地域活動、地域貢献」を強く求めた。入所者など直接の利用者にしか目を向けていない社福法人のあり方に改革の方向性を示したが、抜本的な提案には至っていない。

 そこへ、思わぬ方向から刺客が登場した。安倍政権が熱意を示す法人税の引き下げの代替財源として社福法人の非課税制度に白羽の矢が立ったのだ。財務省と政府税制調査会の法人課税検討グループ(太田弘子座長)が審議を始めた。非課税を抜き出して俎上に乗せようとしている。

 こうした一連の介入が続いているが、今のところ実現性には乏しい。各審議会の到達点は「財務諸表の公開」に止まりそうだ。なぜか。

 答えは明白だ。福祉業界が一丸となって改革に抵抗し、厚労省が率先してその旗を振っているからだ。「福祉事業は普通の市場とは違う。利益を追求する企業とは一線を画さねば」と昔ながらの遅れた姿勢を崩さない。その根底には、「社会福祉は貧困を前提」にし、「上からしてあげる措置制度」という考えを払拭できないからだ。

 だが、社会構造が変わった。貧困、保育、障害、高齢など事業の対象者数が限定されていた昭和期までと異なり、今や社会的支援の必要な層が急膨張している。小泉改革以来の新自由主義的施策の浸透が拍車をかけ、階層格差は著しくなり、要支援者は増勢を続けている。特養や保育園への待機児、待機者問題が一向に解決しないことでも一目瞭然だ。

二度も逃した社福が「脱皮」するチャンス
時代についていけない姿が露わに

 実は、社福法人が「脱皮」するチャンスはあった。

 まず、介護保険スタート直後の2000年6月に税の扱いで再確認が霞が関で行われた。厚労省が財務省に対して介護事業は法人税法上の収益事業である「医療保険業」に該当するか疑義照会した。というのは、法人税法施行令により社福が行う医療保険業は除外され、非課税となるからだ。これに対して財務省は「該当する」と回答して非課税が継続されることになった。

 だが、この財務省の判断に疑問の声は多い。そもそも医療保険業とは診療所や検診などを指し、介護保険サービスとは縁遠い。なぜこの時におかしな判断を下したのだろうか。

 財務省が今になって社福の体質を問題視しているが、この技術的判断を持ち出されて反論されれば返す言葉がないだろう。

 また、介護保険制度を組み立てる直前には社会保障制度の土台を変える論議がされた。1997年から始まった社会福祉基礎構造改革の検討の場である。社会福祉事業法を改訂して、2000年に新たに社会福祉法を制定するためだった。

 基礎構造改革とは文字通り、従来の供給主義から需要主義へ、措置制度から利用制度への転換を打ち出し、社会福祉制度を根底から見直す画期的なものだった。