日当制導入後、矢祭町議員10人の総報酬は激減した。初年度の2008年度は1206万円で、議員平均出勤日数は40.2日だった。2013年度は1320万円で、平均出勤日数は44日。議員1人当たりの年間報酬は132万円となっている。月額制時代の3分の1ほどだ。

 日当制導入の狙いの1つに挙げられたのが、選挙のあり方を変えることだった。過去の町議選では大量の酒などが陣中見舞いとして選挙事務所に届けられ、当選すれば数万円の当選祝い金が飛び交ったという。日当制になれば、選挙に大金をかける余裕がなくなり、カネをかける選挙が一掃されるのでないかと期待された。

 また、カネをかけない選挙が定着すれば、これまで立候補することのなかったようなボランティア精神に富んだ人たちが議員になるのではと期待された。

 議員になることに報酬面での魅力がなくなれば、議員の成り手や意識が変わり、住民の意識も変わる。そして、選挙も変わると考えられたのである。

日当制条例案に賛成した議員で
現職を続けているのはわずか2人に

 では、現実はどのように推移しているのだろうか。

 矢祭町議会に初めての日当制議員が誕生したのは、2008年3月の町議選だった。定数10に対し、立候補したのは11人。このうちの10人が告示前、地域紙に「立候補予定者一同」の名前で広告を載せた。それは、有権者に「陣中見舞・当選祝等は、固くご遠慮申し上げます」と呼びかけたものだった。

 注目の日当議員選挙の投票率は88・22%を記録し、住民の関心の高さがうかがえた。当選者は現職6人に前職1人、そして新人が3人で、現職1人が落選となった。当選者の年齢構成を見ると、50代5人、60代4人、70代1人と若い世代がゼロ。農業や建材業、会社役員といった仕事を持っている人ばかりだった。

 4年後の2012年3月の町議選では12人が立候補し、現職2人が落選した。投票率は前回よりもやや低下し、87・56%だった。前回と同様に、300票を獲得すれば当選となった。新人が6人に増え、40代1人、50代4人、60代5人と若干若返った。注目すべき点は、日当制条例案に賛成した議員でいまなお現職を続けているのが、わずか2人になったことだ。