インフレへの心理を醸成した効果は大
黒田バズーカ砲第二弾を冷静に評価する

 黒田日銀総裁の派手なバズーカ砲の効果を冷静に評価するためには、政策の功罪を分析することが必要だ。

 バズーカ砲の大きなメリットは、人々の心の中に、少なくとも一時的に、「デフレが終わって、インフレになるかもしれない」という心理を醸成したことだ。1990年代から今まで、どうしても実現できなかった「デフレから抜け出せるかもしれない」という思いを、人々の心に芽生えさせたのである。その功績は評価してよいだろう。

 また、米国経済の回復という幸運にも恵まれたものの、円安傾向を鮮明化させたことで、急激な円高に悩んでいた大手企業の業績を回復させることにも成功した。企業業績の回復で株価が一時大きく上昇したことも、経済にプラスの効果をもたらした。

 一方、デメリットも多い。物価の上昇ペースが給与水準の上昇ペースよりも早くなったことで、実質ベースの賃金は低下し、一般家庭の生活感は厳しさを増すことになった。

 また、円安の進展によって輸出企業や海外展開を行った大企業の景況感は改善したものの、円安のメリットを享受し難い中小企業の景況感は一向に改善していない。

 株価は上がったものの、そのメリットは株式保有者にしか及ばない。株式保有者の割合の少ない地方では、「モノがよく売れるようになった」という話を聞くことは少ない。中小企業の集積の多い地方の景況感の改善は、取り残されたままだ。

 その結果、全体としてわが国の経済状況は改善しているものの、東京、名古屋、大阪などの都市部と地方の景況感に大きな差ができ上がってしまった。

 その責めを全て金融緩和策に押し付けるつもりはないが、黒田総裁のバズーカ砲の発射で、政府の成長戦略の手が緩むようなことになると、責任の一端は日銀の派手な金融政策にあると言わざるを得ない。