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ビットコインなどの暗号資産、仮想通貨市場が非常に不透明になっている。「リセッション(景気後退)が目前に迫っているかのような動き」と報じるメディアもある一方で、「2026年前半に急騰するだろう」という専門家もいて先行きが見通せない。ビットコインの行方を正しく予測するには、何が欠かせないのか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)
ビットコイン乱高下の裏側
このところビットコインが急落するなど、暗号資産(仮想通貨)の価格変動性=リスクが急上昇している。暗号資産は円やドルのような法定通貨とは異なり、交換手段や価値の尺度にはなるが、価値を一定にする仕組みがない。
その意味では、暗号資産は投資家のリスクテイクの心理が鮮明に反映されやすい。価格変動性が高いこともあり、エヌビディアなど大手IT銘柄の株価と連動性が高かった。10月前半、ビットコインは最高値(1BTC=12万6000ドル台)に急上昇した。
ビットコインの価格上昇の背景には、近年、暗号資産市場で極めて強気な期待(根拠なき熱狂)が沸き起こった。一部では、「ビットコインなどはバブルの様相を呈している」との指摘もあった。多くの投資家(投機家)は価格上昇を信じ、投資によるリスクテイクに躍起になった。
ところが、その強気はいつまでも続かず、そうした心理の一部が弱気に転じつつある。ここ1カ月ほどの間、暗号資産のリスクが再認識され下落している。11月21日、ビットコインの価格は一時8万1629ドルまで急落した。高値からの下落率は約35%だ。
借り入れを行い(レバレッジをかけて)、自己資金以上のお金をビットコインなどに投じた投資家も多いという。今後、相場がさらに下落すれば、損失に耐えられず売却せざるを得ない人が増えるだろう。
それに伴い、取引業者が破綻する、あるいは投資詐欺が浮上する恐れもある。ビットコインが金融市場の不安定性を高める重大なリスク要因とみた方がいい。







