このように、引きこもり家族会は、当事者にとっても安心できる「居場所」的機能を果たし、情報を通して当事者たちをつなぐためのサポートの拠点にもなっている。

 次に、授業を行ったのは、「幸せな生き方研究学科」の田中透さん(38歳)。受験に失敗し、体調を崩した。

 医療機関に通うものの、診断名が次々に変わり、人生、終わったと思っていた。

「元気になれた理由は、本を読んで実践したことにあります。鏡を見て笑顔の練習したのですが、最初は表情がありませんでした。明るい言葉を口に出して、家で独り言を続けたんです。すると、心に重さがなくなりました。顔色をよくするため、化粧水も塗りました。明るい服を着て、光るアクセサリーもあえて付けました。見た目が元気になると、身体も人間関係にも効果があったんです。僕は、世の中が常に良くなっていると信じています」

 3番目に「NPO法人設立学科」の授業を行った森下徹さん(47歳)は、高校時代に不登校になって2年間、大学卒業後に15年間引きこもった。外では疎外感を抱きやすく、家庭でも父との関係がギクシャクして母が認知症になる中で、理解者(自分の味方)との出会いが役立ったと話す。

「役立ち体験が自分には大きかったかなと思います。NPOは、企業と違って営利を目的としない。 設立するのは大変だと思っていたが、パソコンとプリンターがあればできます。費用は印紙代など1万円くらい。設立趣旨書などを書くのも、フォーマットがある。NPOを助けてくれるNPOもあります。手間はかかるが、情熱があればできます。良かったことは、肩書と名刺が手に入ったこと。人と会って話す話題ができました。事業の受託もできて、外につながっていきました。孤立を防ぐこともできます。いろんな人とつながって、自分の経験を生かすことができて良かったと思っています」

 奇しくも、三者三様の授業となった。

引きこもりは回復する?どう話かける?
当事者・家族から講師に数々の質問も

 この後、7~8人のグループになって、それぞれの思いなどを話し合った。後ろに見学席や、体調が悪くなった人のために別の部屋に和室も設けられた。

 その間、ポストイットに講師への感想や質問などが寄せられ、ホワイトボードに貼られていく。

 当事者からは、「行動に移すことが大事だと思った」といった感想から、「肩書がないと自己紹介ができず、その先に進めなくなる。自信も失われていく悪循環の中で、消去法で最後に残ったのが引きこもりだった」という訴えもあった。