これまでの一般的な女性管理職のイメージは、ごく一部の優秀な、結婚をしておらず、子どもを持たない人がなるもの、というものでした。あるいは、子どもがいても家族や周囲からの支援を十分に得られており、男性と同じように残業や休日出勤も厭わない女性しかなれないものだった……というのは言いすぎでしょうか? しかし、多くの人が女性管理職にそのようなイメージを持っていることは否定できません。
先日、ある年配の女性が、「私たちの時代は、責任ある仕事をするために、育児はベビーシッターや実家、義母をフル活用してやってきた。今の若い人は制度もこんなに充実しているのに、時短勤務などが多く、なぜちゃんと働けないのか分からない」と言っていました。これを聞いたとき、私は正直驚きました。子育てや仕事に対する自身の価値観を相手に押し付けるようなことはすべきではありません。仮に管理職の立場にある女性が、ロールモデルとしてそういう発言をしていたとしたら、今どきの若い女性は、「あんな風はなれない」と思ってしまうのも無理はありません。
これは個人の価値観の問題ですが、それ以外にも、当たり前だと思い込んでいる組織の環境や風土が問題を生んでいる場合もあります。言葉に出さなくても、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」、または「管理職は残業や休日出勤は当たり前」といった言葉が頭に浮かぶのであれば、一度立ち止まって、それは本当に正しいのか、考えてみるとよいかもしれません。
「管理職なりたくない」女性は約5割
女性の活躍推進が進まないのは誰のせい?
男性と比べで女性は、「昇進したくない」「リーダー・管理職になりたくない」と考える傾向があります。日本マンパワーが行った『女性のキャリア意識調査』(2012年)にて、「できることならリーダー・管理職になりたいか」を尋ねたところ、「あまりそう思わない、思わない」と答えた女性は約5割に上っています。その背景には、組織ならではの“常識”という壁があり、それが女性の活躍を拒んでいる可能性があります。
女性の場合、総合職とは名ばかりで役割が限定的だったり、一方で管理職になればいつでも残業に対応しなければならず、いざとなれば転居も伴う異動もある働き方が求められるのはよくある話です。
これでは、子どもを抱えるうえで管理職を目指すことは絶望的ですし、職域を広げたくても、役割が固定しているため、今の状態から抜け出す方法はありません。