
……「環境整備定着プログラム」を導入後に、「2トントラック7台分」の整理をしたそうですね。そんなに簡単に捨てられるものですか? 「もったいない」と思う社員もいたのでは?
山崎 おっしゃるとおり、社員は当初、なかなか捨てたがらなかったんです。
引越しは90分で終わる!
……「捨てたがらない社員」にものを捨てさせるために、山崎社長は何をしたのですか?
山崎 「物を捨ててはいけない。物を捨てると社長から怒られる」と思い込んでいる社員もいたんです。だったら、物を捨てる前に「思い込み」を先に捨てなければなりませんよね。なので、私が率先して「捨てろ、捨てろ」と言うことにしたんです。そうすれば社員は「捨てても怒られないんだ」と安心して、どんどん捨て始めます。いまでは、捨てる文化が根づいたと思います。社内には余計なものがないので、引越しは90分で終わりますね(笑)。
小山 アスクルは収納用品も取り扱っていますが、これまで山崎文栄堂は、商品の販売が中心でした。でも現在では、お客様のオフィスに出向いて、書類の整理の仕方などをアドバイスする機会が多くなっています。時代やお客様の変化に合わせて「やること」と「やらないこと」を変えるのも「環境整備」の一つですね。「環境整備」によって、社員の仕事のやり方にも変化が起きています。
……「環境整備」導入前と導入後では、お客様からの要望はどのように変わりましたか?
山崎 「環境整備」を始めるまでは、お客様から「送料を無料にしてほしい」「値引きをしてほしい」という要望が多かったんです。でもいまは、「書類の整理の仕方を提案してほしい」「困っていることがあるので、教えてほしい」と求められることも多いですね。当社は、「ファイリング・デザイナー」(文書情報管理の資格)の取得率が87%で業界第1位です。社員みずから、整理整頓を徹底しているからこそ、「こういうふうに整理、整頓をしてみたらどうか」という提案ができるんです。