やっぱり裁判に持ち込むのが仕事!?
傷害事件のように、明らかに一方が罪を犯したのであればわかりやすいのですが、相続はそうした事件とは違います。どちらが正しい、どちらが間違っているというよりも、それぞれの意見や感情の対立が生じて互いに譲れないのです。まだ後戻りできるときに、「身内で争ってもいいことはないので、冷静になって、互いに譲り合うように」と言ってくれる親族や専門家がいて、冷静さを取り戻すことができれば、深刻な争いにはならないでしょう。
しかし、弁護士は一方の話を聞いて、その人の味方になるのが仕事です。他の相続人の主張も聞いて、歩み寄りましょうという立場ではないのです。
相手側が依頼した弁護士の話を聞いて、譲歩する感情にはならないのは当然です。むしろ、そちらがそういう態度なら自分も味方をつけるしかないと、弁護士を頼むことになります。悲しいですが、そうしないと勝ち目がないのもまた事実なのです。
よって、それから先の解決方法は「法廷の場で」となり、裁判所に調停を申し立てたり、相手を訴える裁判を起こしたりするわけです。そうしたほうが弁護士は報酬がもらいやすく、これが弁護士の解決の仕方だと認識しておきましょう。
裁判所に持ち込んでも気持ちは救ってもらえない
もめる原因は、財産に対する欲ばかりではありません。「財産の内容を教えてもらえない」ことが発端となり、「何か隠しごとをされている」と感じるようになり、さらに、「話を聞いてもらえない」「自分の言うことを認めてもらえない」など、ささいなことが要因になってきます。
多くの人は、財産の分け方を決めるにあたって、自分の気持ちを聞いてもらい、認めてさえもらえれば、相手の言い分を聞く気持ちはあるものです。話し合いに入る前は、ぴったり等分でなく、自分の配分が少なくてもかまわないと思っているものです。