オリジナル10は唯一市民クラブとして立ち上げた清水を除き、アマチュアの日本サッカーリーグ(JSL)に参戦していた企業チームを前身にした伝統を誇るクラブばかりだ。年を追うごとに参入クラブを増やし、いずれはその下のカテゴリーJ2を設ける構想はあったが、オリジナル10のクラブはトップの実力を維持すると思われていた。

 だが、21年後の現在、一度もJ2に落ちることなくJ1の座をキープしているのは鹿島、横浜Fマリノス、名古屋、清水の4クラブだけ(今回、清水はギリギリで踏み止まったわけだ)。横浜フリューゲルスは経営不振で1999年にマリノスと合併・消滅してしまったし、他の5クラブもJ2落ちを経験している。Jリーグスタート当初は人気実力ともトップだったヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)などは、今季はJ2・22クラブ中20位で、J3との入れ替え戦をやっとまぬがれるレベルまで落ちている。サッカーチームに浮き沈みはつき物。どんなに歴史と伝統があっても、トップの実力を維持するのは難しいのだ。

 なお、Jリーグの萌芽は今から50年前のJSLのスタートにあるといっていいだろう。この時に参加した企業サッカー部が中心となて日本サッカーを盛り上げレベルアップを促し、また、その多くがJリーグクラブの前身になっているからだ。

 JSL創設時に参加した8チームは「オリジナル8」とも呼ばれる。古河電工、三菱重工、日立製作所、東洋工業、ヤンマーディーゼル、八幡製鉄、豊田自動織機、名古屋相互銀行だ。このうち現在のJリーグクラブの前身になったのは5チーム。古河電工は千葉、三菱重工は浦和、日立は柏、東洋工業は広島、ヤンマーはセレッソ大阪。企業アマチュアチームからプロのクラブでは運営形態はまったく異なるが、今もスポンサー契約や人的交流などで密接な関係がある。J1昇格プレーオフに臨んだ千葉は古河電工OBの岡田武史元日本代表監督が応援していたというし、OBは前身の企業の流れをくむJクラブには愛着があるようだ(ちなみに、これ以外のオリジナル8のチーム、名古屋相互銀行と八幡製鉄は休部で消滅、豊田自動織機は部を継続しているが、現在は地域の東海リーグで戦っている)。

 つまり千葉、浦和、柏、広島、セレッソ大阪は前身も含めれば50年の伝統があるということ。これらはすべてJ2を経験しているし、伝統がものをいう世界ではないことは確かだが、Jリーグを観るうえでは、こうした歴史も頭の隅に入れておいてもいいのではないだろうか。