新人たちの多くは、議員になってみたものの右も左もわからぬまま、右往左往することになってしまった。一方、リコールされて臨んだ逆風の選挙を勝ち抜いた現職議員らは、手ぐすねを引いていた。自分たちを徹底批判した新人議員たちを攻撃の的にしたのは、言うまでもない。準備不足のまま議場に入った新人議員らは、初めて体験する議会で集中攻撃に晒され、すっかり萎縮してしまったのである。

 議員報酬の半減はなんとか実現したが、その後はさっぱりとなってしまった。それどころか、減税日本ナゴヤの議員の不祥事が立て続けに発覚し、多くの市民を愕然とさせる事態となった。政務活動費の不適切な使用や領収書の偽造、当て逃げや薬事法違反、さらには議会リコールで集めた署名を選挙活動に流用していた者もいた。自分たちが「今の議員はけしからん!」と批判してリコールした議員と同じか、それ以下のことをしでかしたのである。

準備不足で空中分解した減税日本の教訓
真の「市民派議員」になるためには?

 結局、28人でスタートした「減税日本ナゴヤ」の市議団は、議員の離脱や除名がズルズルと続き、とうとう11人にまで減少してしまったのである。離脱や除名された17人のうち14人は一人会派を名乗り、残り3人は1つの会派でまとまっている。つまり、庶民革命の看板を掲げて市議会に大躍進した「減税日本」の新人議員らは、わずか4年足らずで2つの会派と14の1人会派にチリチリバラバラになってしまったのである。事前の候補者選考と研修に甘さがあったと、言わざるを得ない。議員の仕事を軽く考えていたのではないだろうか。

 ところで、「地方議員になろうか」と考えている方にお薦めの本がある。だだこの本は特定の組織や地区、それから自分や家族のために議員になりたいという方にはお薦めできない。「本来の議員活動を果たしたい」「地域住民の暮らしやすさの向上に貢献したい」と真摯に考えている方にのみ、お薦めである。

 それは、昨年10月に発行された『最新版 市民派議員になるための本』(WAVE出版)である。著者は寺町みどりさんと寺町知正さんのお2人で、上野千鶴子さんがプロデュースした本である。市民型選挙の仕方から議会の基本ルールや仕組み、一般質問の組み立て方や決算書や予算書の見方など、本来の議員活動を行うために不可欠なノウハウやスキルなどが余すことなく書かれている。

『最新版 市民派議員になるための本』のサブタイトルは、「あなたが動けば、社会が変わる」である。議員になることを目的にしているのではなく、議員としての役割を果たすべく立候補を考えている人にとって、必読の書ではないか。

 社会経済状況が大きく変動している現在、地方議員の果たすべき役割はきわめて重要なものとなっている。もはや誰がなっても同じという牧歌的な時代ではない。選挙で当選することと議員になることは決してイコールではなく、当選をゴールと考えるような人は選んではならない。きちんと仕事をする議員の選び方や見抜き方については、拙著『トンデモ地方議員の問題』(株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)を参考にしていただきたい。