1つは、我々ITの専門家が、その本質的な価値を訴求しきれていないこと。もう1つは、(なんとなく)「基幹系はセキュリティの要求が高い」という思いから、クラウド化には躊躇があることです。

 1つめは、当然ですが、各種セミナーやコンサルティング会社の方々は、この「変動費化」を強調なさっていますが、クラウド提供者は、あまり強調していない。それよりも、「コストダウン」「スピード」「管理からの解放」を強調している気がします。

 それは、利用の多寡によって大きく売り上げを変動させたくないので、この変動費化という本質的な価値を、積極的に訴求していないのではと思います。米国では、顧客の側がこの本質的な価値にこだわり、基幹系を中心にクラウド化していることが、上記の日米の差になっているのかもしれません。

クラウドのほうが
セキュリティにお金をかけられる

 2つめは、セキュリティの脆弱性です。しかしながら、もはやこれも神話です。

 前述のシリコンアングルの調査によると、56%の米企業がクラウドのセキュリティを信頼し、半分以上の企業が、機密性の高いデータをクラウド環境に移行しています。

 考えてみれば、セキュリティの高低は「お金のかけ方」と比例し、さらにソフトウェアやハードウェアの進化と比例すると仮定すると、「割り勘勝ち」でお金をかけられるクラウドの方が、堅牢なことは自明です。

 金融機関などでは、金融庁の指導などから、日本の国土の上にデータを保存することが求められていますが、これに対しても、外資系クラウド業者も含め、対応をしてきています。私の会社の親会社の1つであるマイクロソフトも、東京と大阪にクラウドデータセンターを開設しています。

 かつては、テロが人の集まる場所を狙うのと同様に、各社の自社保有コンピュータよりも、クラウドの方が、ハッカーや、サイバーテロの対象になりやすいという話もありましたが、これだけクラウドが普及すると、それはもはや過去のことなのではないでしょうか?

 ここまで述べてきたように、米国ではクラウドの本質的な価値である「ITコストの変動費化」による経営改革にこだわり、基幹系のクラウド化を積極的に行っています。

 我々もクラウドを活用し、経営革新をどんどん行い、今こそ世界で戦える体力を手に入れるべき時だと、強く思います。

 次回は、さらに進化したクラウドの「今」をご紹介します。