私自身、リクルートを退職して起業したときは驚きの連続でした。最初にキッチンの販売会社をつくったのですが、取引先が平気で約束を忘れたり、欠品を承知で契約したり、ちょっと常識では考えられないようなことがいっぱい起こったからです。しかし、それが世の中の現実なんですね。

 その意味で、新卒からずっと大企業一社に勤めてきた人は「世間知らず」だと言えます。優秀な人たちを集め、隔離された居心地のよい世界で仕事をしているのが大企業で、世の中の現実や厳しさを体験していない。

 その点が中小企業の経営者に認識されるようになった結果、大企業出身者が敬遠される傾向が生まれたと思います。

大企業出身者は
「世間知らず」を自覚せよ

 しかし、大企業出身者がまったくだめというわけではありません。ある経営者はこんなことを言っていました。

「大企業出身者でも、一回頭打ちになった人を採るといいんだよ」

 要は大企業から一度、中小企業やベンチャー企業に転職して頭打ちになった後、世の中を知って現実と折り合いをつけられるようになった人です。世間とのチューニング作業を終えた人、といってもよいでしょう。

 実際、大企業出身者で中小企業に1~2年勤めて退職しようと思っている人や、2~3年勤めて本来の力を発揮できるようになった人は転職市場でとても人気があります。

 別の見方をすると、以前は時間をかけて大企業出身者を世間とチューニングさせ、戦力化していく余裕が企業側にあったが、いまはないのかもしれません。投資した人件費を早々に回収したいという気持ちが強いのでしょう。

 人材を募集している企業は大企業出身者を「世間とのチューニングが必要」と見ており、同時に「投資した人件費は早く回収したい」傾向を持っていることを、大企業勤めで転職を考えている人にはぜひ知っておいてほしいと思います。