「女性起業家といえば、リクルート出身の人か海外の大学でMBAを取った人でしょ?」
そんな声が聞こえてきそうな女性起業家のイメージが今、大きく変わろうとしている。
6月下旬の週末、都内某所に“ある共通の目的”を持った女性が約70名集まった。その“共通の目的”というのが「起業」だ。日本政策金融公庫が主催した「女性のための創業支援フォーラム」。実際に創業した女性起業家のパネルディスカッションから創業勉強会、交流会・個別相談会が行われ、来場した女性たちは非常に熱心に耳を傾けていた。
安倍政権は、6月に閣議決定した成長戦略のなかでも「女性の活用」を中核にとらえており、女性管理職を2020年に30%にする目標を定めるなど、女性の社会進出を後押しようとしている。しかし、結婚や出産を機にライフスタイルの変化する女性にとって、会社の育児休暇制度や時短勤務制度などが充実してきているとはいえ、夫の転勤や家事・育児による場所・時間的な制約から職場に居続けられない、復帰しても居心地が悪いといった人が少なくない。そこで、そうした一般の女性が自分らしく働くために、「起業」選択肢の1つになり始めている。
日本政策金融公庫によると、女性層への創業融資実績は、平成24年度は3724社だったのに対し、25年度には4630社となんと1年で24%も増加している。そんな急増する女性起業家だが、なぜこれほど起業を志す女性が増えているのだろうか。また一体どんな人が今、起業しているのだろうか。まずは、その実態をデータから見ていこう。
6割が家事もこなす女性起業家!
元主婦、元パートから社長になっていた
日本政策金融公庫総合研究所が行った「2013年新規開業実態調査」から女性起業家の開業時のプロフィールをみていくと、開業時の平均年齢は43.7歳。家族構成を見ると「配偶者あり」が52.5%、続いて「小学生以下の子どもあり」(23.1%)、「中学生から大学院生までの子どもあり」(22.9%)となっている。
家事・育児の分担状況を見ると、「自身がすべて行う」が34%、「自身がほとんど行う」が26.1%と合わせて6割以上が主体的に家事を行っているという。男性起業家はその割合が1割程度ということから、家庭のことも同時にやらなければならない女性起業家が多いことがよくわかる。