「日本一になろう」と志を立てたチームはどうなったか

 自動車販売会社のメンバーを研修したことがあります。管理者の皆さんに、チーム運営のための志を立てていただきました。燃えるような、本気になって取り組めるような、達成できたらワクワクするような志を立てるように訴えました。

 「日本一になろう」でした。全国に同系列の販売会社が約300社あり、180位ぐらいの実績の会社でした。繰り返し、「日本一」を言い続けました。

 どうすればなれるのか。一人ひとりが考え、いいと思ったことはどんどん提案し、やろうと決めたら全力で取り組んで結果を出していこうと言い続けました。

 皆は半信半疑でした。できるわけがないと思っていました。しかし志を訴え続けることで、ひとりふたりと本気になり行動する人がでてきたのです。3割の人が真剣に動き始めるようになると、他の人たちもこうしてはいられないという雰囲気が出てきました。

 日に日に職場が活気づき始めました。朝の「おはようございます」の挨拶は、これまでの3倍の声になり、やる気に溢れた声でいっぱいになりました。

 管理者が、とくに営業所長が本気になってくると、社員にも本気が乗り移ってきました。一つひとつの業績目標が意識され、貪欲にチャレンジする姿が見られるように変化してきました。

 売り上げの伸び率、シェア率、利益率、とくに顧客満足度の評価が向上してきました。

 毎月の締め切り日までの最後の一週間は、以前はあきらめムードでしたが、粘りに粘って契約を決めてくる営業のメンバーが増えてきました。

 お客様への対応、営業の工夫、商談での説明内容の勉強会など、どうしたらお客様が喜んでくださるか、チームメンバーが真剣に考え行動するようになりました。

 なにより大きな変化は、メンバー一人ひとりが仕事へのやりがいを感じるようになり、それが生き甲斐となっていったのです。

 2年後に信じられないことが起きました。全国の販売会社のなかで総合評価が1位となったのです。そしてこの会社は、メーカーの本社から「経営革新賞」の表彰を受けたのです。