でも、どうしても達成できない環境変化があったら、思い切ってターゲットを下げることもいとわない。長期計画がおざなりになって願望計画にならないように、ローリングをやることにしたのです。

松江 2019年の先はどういう時間軸で見ていますか。

木川 2019年の100周年が成長戦略の完成の年ではありません。でも、それが次の100年に向かってう成長戦略であるとしたら、2017年からスタートする最後の3年間はその流れを定めていく過程になります。その勢いをつけながら、さらに人口動態でどう環境が変わるか、そこで起こるリスクを勘案しながら、どういう方向で牽引していくか。いずれにしても新しい成長軌道に乗せていく必要があるので、どうしても2019年の数値にはこだわらなければなりません。

 まずは2019年の目標に対して「何が何でも達成する」と、こだわることで次の100年に向けてのスタートができる。長期的なビジョンであり、当社にとってのグランドデザインです。

松江 まさに企業として時間軸をつなげる柱となるものがグランドデザインということですね。

木川「グランドデザインを描かずして3年間頑張ります。」という経営方針では、どっちへ向いていくのかわからない。経営者が20年変わらないならいいかもしれませんが、定期的に経営トップは変わりますから。もちろん、大きな流れの中で戦術とか短期戦略は当然変わりますが、致命的な環境変化や読み間違いでもないかぎり、経営者が変わっても会社が目指す大きなベクトルは揺らがない、それがグランドデザインです。

【変革のリーダーシップ・経営手法】
キャッチフレーズで全社を同じ方向に向かせる

木川 往々にして、グランドデザインといったようなものは伝わりにくいですが、グループ内、とくにそれを担う幹部社員は共有しないといけません。たくさんの言葉を使って話しても伝わるとはかぎらないから、思いを伝え、同じ方向性を向かせるためにキャッチフレーズが必要だと思っています。それを使ってグランドデザインの方向性とか、本当に今やらないといけないことを共有化する。そういうコミュニケーションが、ひとつの考えを浸透させるためには大事です。

松江 それはコロコロ変えないで、ずっとですか?

木川 毎年のメッセージをフレーズにして幹部社員に伝えてきました。たとえば、2年前は、「プロジェクトG」というキャッチフレーズだった。「G」は「ガバメント」のことです。今後、少子高齢化によって日本人の生活、社会構造は変わっていく。生活基盤がどんどん劣化する可能性がある。いつまでも公共におんぶにだっこというわけにいかなくなるでしょう。

 われわれはいまや生活に密着した企業になって社会的責任が生じていますが、そこで何ができるかを考える。それは単に公共の仕事を奪うということではなく、地方自治体と本当に連携を取りながら日本の生活基盤をどうやって維持発展させるかという思いを込めて。行政と喧嘩ばかりしていた企業が初めて手を結ぼうということだから、これはインパクトがある(笑)。