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iPhone、ブラックベリーを超えた?
パームが投入する新携帯「Pre」の真価

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第30回】 2009年1月28日
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 これまでのスマートフォンでは、ひとつのアプリケーションを使用している間は別のアプリケーションが表示されない。iPhoneでは電話がかかってくると、それまで使っていたアプリケーションはどこかへ消えてしまう。Preの場合、通話中でもスクリーンのアプリケーションは下方に小さく表示される。

 通常でも、Preのアプリケーションやブラウザーの複数のウィンドーは横並びのカードとして表示され、指のスクロールだけですぐ呼び出し、立ち上げることができる。コンピュータ並みの使用感のためには、このマルチタスクは必須の要素だ。

 その他にも、コピー&ペーストが可能であること、コンタクト・リストにフェースブックにログインしているかどうかといったステータス情報が統合されるなど、いろいろな新しいフィーチャーが見られる。これらのフィーチャーは「画期的」と言うほどではないが、ここあそこで小さな改良を加えて使い勝手を大きく前進させるものだ。

 だが、Preによって、パームは「本気でスマートフォン競争に復帰する構えを見せた」と言われるほど評価が高く、何と言っても、アップルがタッチスクリーンのIP(知的所有権)をめぐって、訴訟を起こすのではないかとも噂されるほどの強力な競合モデルと目されているのだ。

紆余曲折の末に見えた
復活の曙光

 パームは、アメリカのテクノロジー業界でもドラマチックな道のりを歩んできた企業だ。起源は1992年にコンピュータ・エンジニアのジェフ・ホーキンズらが創設したパーム・コンピューティング社。同社は、パーム・パイロットというPDA(パーソナル・デジタル機器)を発売したが、これはスタイラスによる速記のようなペン書きを文字として認識する技術グラフィティや、コンピュータとシンクロさせる技術などを備え、画期的なデビューを遂げた。

 その後、同社はUSロボティックスに買収され、その後さらに買収によって、3Comの一部門になる。だが、経営に不満を持った3人の創業者はすぐに独立して、競合のハンドスプリング社を創設した。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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