携帯電話は、ほぼ普及しきったと言っても良いだろう。人口が増えない限り、日本国内で大幅な加入者の増加は見込めない。インフラの敷設も完了に近づき、各キャリアが激しい利用料金競争に突入している。
通信料金以外にも、キャリアを選ぶファクターは数多くある。端末の魅力をはじめ、iモードや音楽ダウンロードなどのコンテンツサービス、バーチャルマネーなど各社が特色を打ち出している。
今後、ビジネスユースで激しい競争が起こると予想されるのが、定額データ通信サービス。つまり、パソコンを屋外に持ち出してインターネットに接続するための通信サービスだ。パソコンに携帯電話を接続したり、専用のカードを差し込めば、どこにいても定額で高速通信ができるのだ。
たとえば、現在地方のホテルに宿泊すると、インターネット回線が使えなくて困ったり、利用料金が高くて困るケースが多い。ところが、高速なワイヤレスブロードバンドが普及すれば、携帯電話が使えるところなら、どこでもブロードバンドが利用できるのだ。現時点でも、コストさえ気にしなければ、新幹線での移動中でさえネットにつながるのだ。もちろん、トンネルや山の陰などではとぎれてしまうが。
また、単にWebを見たり、メールをチェックするだけでなく、シンクライアント端末を利用するような使い方にも利用できる。また、カーナビの地図もダウンロードして使う時代も到来するはずで、今後利用者が増えることは間違いないのだ。
もちろん、携帯電話のように全国民の5割以上が利用するサービスにはなり得ない。だが、外出がちのビジネスパースンにとってはとても魅力的なサービスであり、キャリアとしても通話利用以上の顧客単価が見込める。法人契約で大口を確保できる可能性もあるのだ。また、通話と別の回線を契約することも想定され、頭打ちの回線数増加も見込める。