経営 X 人事
若手社員を辞めさせず成長させる 「適度なかまい方」マニュアル
【第22回】 2009年11月12日
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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

ブラザー・シスター制度を公募型に切り換えたアサヒビールの「かまい力」

~教えられる側と教える側の両方を経験した若手社員に聞く

 「報告を受けて、“え?マジ?”と言ってしまいました(笑)。結局、とても愚直に仕事に取り組んでいた、ということだと思います。杉並区を担当していたのですが阿佐ヶ谷の七夕祭り用にオリジナルのポスターを作って持っていくとか、足しげく通ってお客さんにいろいろな提案をしました。そんな成果だったのだと思います」

 1つ成功をおさめた後、9月一杯でブラザー期間は終わりました。新人は量販店営業の部門に異動していきました。

 「ブラザーをやってよかったな、と思ったのは、正式配属が決まった彼の送別会のときのことです。すでに異動していた彼は、その日の午前中たまたま予定が空いていて、9月まで担当していた杉並の酒屋さんにあいさつに回ったそうです。“きちんと指導してるね”と周りに言われたのですが、私が指示したわけではなく、まったく知らなかったのです。彼が、自分の考えで、異動後にもかかわらずあいさつ回りをしたわけで、これはうれしかったですね」

ブラザーをやってみて「成長したい」
という気持ちが強くなった

 ブラザーを務めた経験は、駒田さんにとって何をもたらしたのでしょうか。

 「私自身も、この9月から担当部署が変わりました。ブラザーをやってみて、ステップアップしたいという気持ちが強くなりました」

駒田康二さん
強豪アサヒビール・シルバースターの選手でもある

 堂々たる体躯。実は、駒田さんはアメリカンフットボールの強豪、アサヒビール・シルバースターでプレーしています。

 「高校からアメリカンフットボールをやっていますが、野球やサッカーと違って新入生はみんな初心者。だから、高校のときから後輩を教えることには慣れていて、人を育てるのは楽しい、と思っていました」

――3年目に入ったばかりでブラザーになるって、職場の人たちの反応はどうでしたか?

 「職場の人たちには言わないで応募しました。決まって報告すると“がんばれよ”と励まされました」。公募制ブラザー・シスター制度が、社内に根付いているからこその反応だろう。

 「2年前に世話になった私の元ブラザーにも報告しましたが、“お前で大丈夫か?”といわれました」と駒田さんは笑います。
 「人を教えるのは難しいけれど、それをやることで自分の成長にもつながるのではないか、とも思っていました」

 アサヒビールにみる「かまい方」は、どうやら制度によるものではなく、会社の風土によるものであるように感じられます。駒田さんの話からは、そんな会社のDNAがかいま見えます。

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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発編集部副部長]

1961年、東京都生まれ。1986年 、早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、ダイヤモンド社入社。週刊ダイヤモンド編集部に配属され、以後、記者として流通、家電、化学・医薬品、運輸サービスなどの各業界を担当。2000年 週刊ダイヤモンド副編集長。2006年 人材開発編集部副部長。著書に『だから若手が辞めていく』(ダイヤモンド社刊)

 


若手社員を辞めさせず成長させる 「適度なかまい方」マニュアル

若手社員はなぜすぐに辞めてしまうのか――。放置プレー上司が多い中、早期離職を防ぐためには、若手を「“適度に”かまう」ことが大切。部下を辞めさせることなく成長させる人材マネジメントのノウハウを伝授する。

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