ビール系飲料大手のサッポロホールディングスは8月14日、飲料大手のポッカコーポレーションとの資本提携を発表した。

 サッポロは約100億円を投じ、ポッカの発行済み株式の約21.65%を取得。これにより、商品の共同開発や自動販売機の相互乗り入れを行ない、競争力強化を図る、としている。

 だが、両社の提携を脅威と受け止める業界関係者は多くない。

 というのも、飲料業界においては、サッポロ・ポッカ連合は単なる弱者連合で、次の再編に踏み切らない限り生き残れないと見られているからだ。

 2005年から08年までの3年間でサッポロ飲料の販売量は26%減、2350万ケースにまで落ち込んだ。5万台しかなかった自販機は3万台に減り、もはや壊滅状態。シェアもポッカとJTに抜かれ、総合飲料メーカーではどん尻の12位である。

 かたやポッカは投資ファンドのアドバンテッジパートナーズと組んでMBO(経営陣による自社買収)に踏み切ったが、業績は振るわず、目指していた今年3月の再上場は延期となった。

 サッポロとポッカが連合を組んでも自販機12万台、シェア3.2%(業界7位)で、大手5社の半分にも満たない。

 ちなみに、清涼飲料業界2位のサントリーの販売量は3億1850万ケース、自販機は44万台。販売量でサッポロ・ポッカ連合の5.9倍、自販機で3.6倍の大差がついている。サントリーとキリングループの経営統合が実現すれば、この差はさらに広がる。

 では、サッポロ・ポッカ連合が次にどこと組むのか。有力候補として名前が挙がっているのは、同じく飲料事業で苦戦しているJTと乳業・製菓大手の明治ホールディングス。明治はポッカの筆頭株主であり、飲料事業の提携をテコにして、親会社同士の提携にまで持っていけるのか。食品業界再編の次の焦点はそこへ移る。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)

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