通信の世界で起こった多業種入り乱れての参入が
今度は電力の世界で起こる
A.電力小売りの完全自由化の主役となるのは、通信の世界のMVNO(仮想移動体通信事業者※)、すなわち既存の無線通信インフラを他の通信事業者から借り受けてサービスを提供する事業者のようなものだと思います。
したがって、その主役は電力や石油なそエネルギーに関連した企業とは限りません。
むしろ、事業を有利に展開できる可能性が高いのは、すでに多くの顧客を抱えていて、料金の徴収を金融機関からの毎月の自動引き落としで行っている事業者だと思います。
例えば、既存の通信キャリアがまず有力ですし、楽天のようなEコマース、ネット販売などの事業者も有力でしょう。決済機能の側面からクレジットカード会社や銀行などの金融機関も参入してくるかもしれません。
さまざまな業種からの参入が増え競争が進むことによって、現在の通信の世界のように、電力需要の少ない休日や深夜・早朝などは料金をより安くするなど新しい料金体系や新サービスが生まれるはずです。
電力に注目が集まりがちですが、ガス事業も2017年から自由化されます。電力・ガスの2つの事業を手掛けることで、電力とガスのセット販売も可能になります。供給する事業者にとっても需要側の消費者にとってもメリットは大きいと思います。
※MVNO:mobile virtual network operatorの略。仮想移動体通信事業者。スマートフォンや携帯電話の通信などで使われている無線通信インフラ(移動体回線網)を保有する他の事業者から借り受けて、自社のブランドで通信サービスを行う事業者のこと。これに対して自社の通信網をMVNO事業者に提供する事業者をMNO(移動体通信事業者)と呼ぶ。