3月日銀短観の大企業・製造業の業況判断DIは、調査開始の1974年以来最悪の▲58となった。
先行きの予想が7ポイントの改善を見せた点に救いを見出したいところだが、製造業の生産・営業用設備判断は、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも90年代の最悪期を超えた。雇用判断も90年代半ばに匹敵する「過剰」となった。
昨秋から現在に至る世界的な景気悪化の発火点はリーマンショックだが、その後あらわになったのは、これまで累増してきた経常収支の世界的不均衡の問題である。
ドイツも日本に似た困難を抱えている。メルケル首相は、最近の「フィナンシャルタイムズ」のインタビューで次のように話していた。
「ドイツ経済は輸出に非常に依存してきた。われわれの供給過剰を吸収する手段を世界の他の国々に見出してもらう必要がある。ただし、どうか、サステナブル(維持可能)な方法で」。米国の過剰消費を復活させてもしようがないということだろう。
米国の消費が先行きある程度は回復するにしても、ドイツ、日本、中国など大きな過剰供給力を持つ国々は、今後、サステナブルな輸出先を探す必要がある。困難な課題である。