分かります、分かります。僕自身も、若い頃は、ずーっとそうでした。
そうやって身構えて、とにもかくにも自分の提案や主張を通そうと肩ひじ張ると、最初に口から出るフレーズが、「いや……」とか「ですから……」などの、否定から入るフレーズになってしまいます。でも本当は、まずは「ご指摘、ありがとうございます」など、肯定的な返答で始めることが必須です。
自分が質問やコメントをする側にいると想像してみてください。少し気になったことがあったのでちょっと質問してみたら、いきなり「いや、そうではなくて」と、自分が疑問を持ったことそれ自体さえ否定されたような受け答えをされたら、どうでしょう? 僕なら、さらにネガティブなポイントを探してしまいます。
どんな意見に対してだって、ネガティブなポイントは探すことができます。完全無欠の意見なんて、この世に存在しません。なので、僕が質問者で、話者が「いや、そうではなくて」「ですから、先ほども説明しましたように」といった態度で臨んできたら、実はちょっとしか疑問に思っていなかったとしても、話の流れ上、その提案自体を一生懸命に否定する方向に走る可能性が高いですよね。
心理学では「攻撃行動の動機づけ」には4つのタイプがあるといわれていますが、その中の「防衛・回避」や「制裁・報復」は、これに当たります。プレゼンにおける意見やコメントのやり取りも、こちらの態度を相手がなんらか「攻撃的だ」と感じた場合、こちらの攻撃を「防衛・回避」しようとし、あるいはこちらの攻撃に「制裁・報復」しようとして、先方が攻撃的になる可能性は大いにあります。
「なぐろうとすると、人にはなぐり返そうとする傾向があるってことが観察によって分かってきた」と、かのチャーリー・ブラウンも言っています。